4通話目�� ページ26
曽野「あ、あはは！こんにちは〜」
佐野「お前、今朝の…何でここに…」
曽野「なんでやろ〜…たまたま…？」
今朝助けた、変わった少年がまた自分の目の前に現れた。
あの時は優しかった佐野刑事にも、少し不信感が生まれたようで、顔をしかめていた。
佐野「ここは子供が来る場所じゃない。早く帰れ」
朝とは違い、少し厳しい口調だった。
しかし、ここで引き下がるわけにもいかない。
曽野「こ、子供ちゃいます！それより、ちょっとだけお話ししたいことが…！」
佐野「駄目だ！！！早く帰れ！！！」
曽野「あ…」
佐野「あぁ…悪い…大声出しちゃって…とにかく、ここは危ないから、早く帰れ。な？」
曽野「わかりました…」
曽野少年は、肩を落とすと、トボトボとこの場から去っていった。
遠巻きにそれを見ていた僕は、少し驚いてしまった。
いや、曽野君がいたことはもちろんだが、あの佐野先輩があんな剣幕で大声を上げるなんて…。
いつもニコニコへらへらしているのが嘘みたいに、今も眉をひそめて、真剣な表情を浮かべている。
そんなに曽野君がいたことが癇に障ったのか…？
塩崎「あいつ…まだ引きずってんのか…」
すると、隣で塩崎先輩がぼそっとつぶやいた。
引きずる？
何の話だ…。
まさか、さっき僕が怒鳴ったことか…？いや、まさか…。
山中「どういう意味ですか？」
塩崎「え？あ、あぁ、何でもない！それより事件だ事件！とりあえず周辺の聞き込みからだな！お前は佐野とバディだろ？早く行ってこい」
なんだ？
そんなあからさまに動揺しなくっても…。
僕は塩崎先輩の態度に不信感を抱いたが、確かにこの事件も早く解決しなくては。
佐野先輩のあの電話も、どうやら今回は事件解決へと導いてはくれなさそうだし。
そうして僕は、佐野先輩の方へ向かった。
山中「佐野先輩、周辺の聞き込み調査に向かいましょう」
佐野先輩は、真剣な表情で事件現場の方を見つめている。
見つめているというか、何か睨みつけているような気さえする。
こんな顔もできたんだ…。
佐野先輩「柔太朗…。さっきは悪かったな…」
えぇ？！
僕は心の中で叫んだ。
今日の佐野先輩はやっぱり少しおかしい。
いや、いつもおかしいけれど、今日は特別おかしいのだ。
まさか、先輩が僕に謝ってくるなんて…。
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作者名：milkssss | 作成日時：2019年6月30日 15時
