4通話目�� ページ21
その時だった。
警官に無理矢理連行される曽野少年の後ろから、一人の男性が走ってやってきた。
その男性は警官に一礼すると、自分の内ポケットから何やら黒い手帳を取り出した。
「あ、これは佐野刑事！ご苦労様です！」
警官はそう言うとその男性に小さく敬礼をした。
佐野と呼ばれたその人物は、にこっとほほ笑むと、曽野少年の頭にぽんっと手を置いた。
佐野「この子、僕の甥っ子なんです。今日はどうしても僕の仕事現場に来たいって言ってたんで、どうやら勘違いさせるようなことしちゃったみたいですね。すみません」
「ああ！そうだったんですか！申し訳ありません！あやうく署内に連れて行ってしまうところでした」
佐野「いたずらっ子なんで、すみません！あとは僕が引き受けるので、仕事に戻ってください」
「はい！それでは！」
その警官はまた佐野刑事に敬礼すると、踵を返して署内に入って行った。
佐野「ふう、危なかったな。もうすぐで逮捕されちゃうとこだったぜ？」
曽野「あ、あの…もしかして助けてくれたんですか？」
佐野「あんなバカでかい声で助けてって言われたから、つい！でもまさか、本当に悪いことしてたんじゃないだろうな？」
曽野「いいえ！違いますよ！僕は頼まれた仕事をしてただけで…」
佐野「ふーん…。ま、いいや。とりあえず今日はもう帰んな。それからもう変なことするなよ？」
曽野「変なことなんかしてません…。でも、ありがとうございます！おかげで助かりました！」
佐野「気にすんな。じゃあな！少年！」
またにこっとほほ笑むと、佐野刑事は手をひらひらと振って署内の扉をくぐって行ってしまった。
世の中にはいい人もいるもんだ。
なんて、関心していると、曽野少年は首をひねった。
曽野「あれ…今の人、どっかで見たことあるんやけど…」
そうつぶやいて、記憶をたどる。
そして―
曽野「あああああ！！！！」
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作者名：milkssss | 作成日時：2019年6月30日 15時
