〇甘くて苦い ページ39
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さっきまで温かかったはずの手が冷たい。秋が近づいてきたとはいえまだ寒くないのに、指先まで冷えてしまった。
浮かれちゃって、バカみたい。
私とリオ先輩を交互に見る柾哉先輩の顔が脳裏に焼き付いて離れない。いっそのこと、私になんて見向きもせずに追いかけていってくれた方が良かった。どっちを取るか迷われて、最終的に選ばれなかったほうが辛い。
先輩は泣いてる人を放っておくような人じゃないって分かってるし、そういう先輩を好きになったのは私。だけど今だけは、そんな自分を恨んでしまいそう。
ずっと道端に立ち止まってるわけにもいかないし、でも家にも帰りたくない。雄大に会いたいけど、きっと今頃、匠海先輩と威尊先輩と楽しんでいるんだろう。あー、こんなに悲しいのに、涙も出ない。柾哉先輩がリオ先輩を選ぶなんてわかりきってたことだし、もしかして本当は悲しくないのかな。
ぼんやりしながらも勝手に足が向かうのは、いつものあの店だった。
がちゃん、といつも通りに古めかしい音をたてて開いたドアの向こうから、いらっしゃいませーと間延びした声が聞こえる。
「あれ、A？」
「きょーちゃ、」
「え、ちょ、どうしたの、」
きょーちゃんの犬みたいなぽわんとした顔を見たら、さっきは出なかった涙がぼろぼろと溢れてきた。
「きょーちゃん、」
「うん、ここにいるよ。とりあえず入りなよ」
カウンターから出てきて、入口で立ち止まったまま泣いている私の背中に手を回して中に入れてくれるきょーちゃんが優しくて、また涙が溢れた。
「え、Aちゃん？どうしたの？」
「大夢、俺飲み物入れてくるから、A座らせてあげて」
「わかった」
大丈夫？ここ座りな、って手を引いてカウンターの前の椅子に座らせてくれる大夢くん。
「Aちゃん、」
隣から聞こえる声は心配そうで、私より少し大きな大夢くんの手が優しく背中を撫でる。
「ごめんね、っ、」
「ううん、謝らないで」
「A、あったかいの入れたから飲みな」
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み(プロフ) - えす氏さん» 更新おまたせしました！ぜひ読んでいただけたら嬉しいです！ (2022年1月14日 21時) (
レス) id: b074cc1820 (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - くまさん» コメントうれしいですー！ありがとうございます！続きも頑張ります！ (2022年1月14日 21時) (レス) @page43 id: b074cc1820 (このIDを非表示/違反報告)
えす氏(プロフ) - 柾哉先輩(/ _ ; ) 更新待ってました。続きが気になります！ (2021年12月15日 22時) (レス) id: 5baf972c67 (このIDを非表示/違反報告)
くま(プロフ) - 更新嬉しいです！！！！もー、まさや先輩（ ; ; ）？！笑 続きめっちゃ気になります！ (2021年12月15日 19時) (レス) @page42 id: ff03694f37 (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - くまさん» 手汗！（笑）うれしいですー！柾哉先輩まだまだ出てくるので、楽しみにしていてください！ (2021年9月9日 15時) (レス) id: b074cc1820 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みお | 作成日時：2021年8月13日 22時
