猫と花 第二部

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「そういうことなので……すぐにここを出ましょう。」


チシヤがトランプを手に入れたそうだ。
トランシーバーからチシヤとクイナのやりとりが聞こえる。
Aは天龍にことの経緯を説明した。
彼は神妙な顔をしていたが、わかったと言って立ち上がった。


「Aちゃん、泣かないで。」

「……え？」


天龍に言われて、はじめて自分が涙を流していることに気付く。
アリスとウサギを犠牲にしておいて、悲しいと涙を流す自分が卑怯に思えた。

裏口で待っているよと、トランシーバーからチシヤの声がする。


「持っていくものは、特に無いか。じゃあ行こうAちゃん。」


念の為部屋を確認した天龍がドアの方へ向かう。
Aは涙をぐいと拭ってそれに続く。

廊下に出ると、パッと照明が瞬いた。
瞬停だろうか。
あまり気にせず足早に廊下を進むと、チャイムが聞こえ、アナウンスの声が響き渡った。


『ホテルシーサードパラダイス東京をご利用いただき、誠にありがとうございます。日頃のご愛顧に感謝を込めて、当ホテルにご宿泊の皆様全員によるゲームを開始します。』

「ーーーーえ？」


どくん。
心臓の鼓動が速くなる。


「まさ、か……」


下の階からざわめきが聞こえる。
ロビーに人が集まっているようだ。


「倫也さん……」

「大丈夫だよAちゃん。絶対守ってあげるから。」


目を見て頷く天龍。
Aの手を引いてロビーを目指した。



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