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「連れはどうした。」
目の前まで武闘派の一行が近づいてくると、先頭のアグニがこちらに問いかけた。
俯き無言になるアリス。
「......そうか、死んだか。惜しいな。」
連れ、とはカルベのことだろうか。
照れながら自分の手を握る彼を思い出し胸がぎゅっと締めつけられる。
「またどうでもいい奴が生き残ったな。」
アグニが冷ややかな表情でアリスを見下していた。
そしてアリスからウサギへ視線を移すと、くいと顎をしゃくる。
「おい、この女連れてこい。」
はいと返事をしたニラギがウサギに近寄った。
アリスがその間に体を割り込ませる。
「おい!」
勇敢に立ち向かうアリスをクイナが制す。
やめとけ関わるなという言葉はアリスには届いていないようだ。
強引に腕を掴まれるウサギ。
Aはいてもたってもいられなくなり、アリスと共にニラギへ立ち向かった。
「なんだよA。また遊んでほしいのか?」
「……やめて。嫌がってるでしょ。」
「ハッ……あのなぁ、うちのボスが味見してえっつってんだよ。」
お前みたいにな。と付け足すニラギ。
違う。あの夜アグニには何もされていない。
優しい彼と、今の冷淡は彼は、どちらが本当の姿なのか。
そんなことを考えたAだったが、ウサギを庇うようにニラギを睨んだ。
アリスもニラギを退けようと掴まれた手をふりほどいた。
「このガキどうします?」
うざったそうにアリスを見るニラギに、アグニが足の骨でも折っておけと言い放つ。
ゲームで死ねるようにと。
ニラギは舌なめずりをしてAを見た後、アリスを連行していった。
金髪の男性がウサギに立てよと命令する。
一触即発のその場に、ビーチの主人であるボーシヤの声が響いた。
「揉め事かね?」
部下を引き連れたボーシヤが人ごみを割って悠々と歩いてくる。
「引っ込んでろボーシヤ。」
どんどん事態がややこしくなってきている。
考えを巡らせるA。
眩暈がしてきた。
ふらつくAを天龍が抱き止め、いざこざの渦中から遠ざける。
「また無茶して。」
渋い顔をする天龍の影に隠されたA。
ボーシヤとアグニが至近距離で睨み合っている。
「幹部は会議室に集合だ!」
どうやら一旦は決着がついたようである。
「アリス、A、君らもだ。着いてこい。」
Aは自分も呼ばれるとは思っておらず戸惑った。
幹部になった覚えはないのだが。
同じような顔をしたアリスと目が合った。
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おこめ(プロフ) - はーとさん» 勿体ないお言葉😭😭嬉しいです!チシヤの可愛い口、表現できてますかね…?!主人公ちゃんも反対の位置にほくろがあるんです(*' '*)気まぐれにイラストあげるかもしれないのでまた見てやってください🥹 (2023年2月20日 23時) (レス) id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
はーと(プロフ) - おこめさん» お大事に( ᵒ̴̶̷̥́ωᵒ̴̶̷̣̥̀ )てか絵が上手すぎません?!チシヤの口が可愛い🤍 ̖́-夢主ちゃんもホクロがあるんですね! (2023年2月20日 22時) (レス) @page45 id: f292a3492c (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - はーとさん» はーとさん、お心遣い感謝です(;;)リハビリも兼ねてゆっくり執筆していきますのでどうぞよろしくお願いいたします🐈💐 (2023年2月20日 22時) (レス) id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
はーと(プロフ) - おこめさん» 事故💦怪我が早く治りますように(T ^ T)更新も楽しみにはしてますが、無理せず頑張って下さい (2023年2月20日 16時) (レス) @page44 id: f292a3492c (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - ayaさん» ayaさん、いつもコメントありがとうございます!甘々チシヤ、完全に作者の好みなのですが、お気に召していただけたようで幸いです🐈大切に執筆している作品なのでそう言ってくださるととても嬉しいです( ´͈ ᵕ `͈ ) (2023年2月2日 22時) (レス) id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おこめ | 作成日時:2023年1月27日 1時