猫と花 第二部

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クイナがいつになく真剣な表情をしている。
いつも彼女の口元にある禁煙パイポは机上に置かれ、その口は真一文字に結ばれていた。


「.....どうしたのクイナ？」

「チシヤに、聞いたん？計画のこと。」

「.....うん。」


思わずクイナから目を逸らしてしまった。
誰かを犠牲にして成り立つ計画なんて、いやだ。
たとえそれが残酷なゲームの相手だとしても。

先日の“はないちもんめ”で負かしたおにが最後に呟いていた。
お父さんは帰れない。ごめんな。と。
彼は誰かの大切な人だったのだ。
子供がいたのだろう。奥さんも彼を待っていたはずだ。
その繋がりを考えたら胸が苦しくてたまらなくなった。


「うちらと一緒にビーチを出る、やろ？」

「.......アリスくんを囮にするのは嫌。」

「A。」

「でも、だからといってどうしたらいいかは.....わたしはわからない。」

「.....なぁA。」


クイナがAの手を握る。


「チシヤのこと、どう思っとるん？」

「.....好きだよ。大切に思ってる。」


まだ出会って数日だとしても。
もう既に、彼はわたしにとって大切な人だ。


「クイナも、倫也さんも、アリスくんもウサギちゃんも。みんな大切なの。」

「A.....」

「ビーチの人達もね.....誰も死んで欲しくない。」


偽善者、八方美人。
過去に自分をそう罵るものがいた。
しかし、本心なのだ。
自分に酷いことをしたボーシヤや、ニラギも。
みんなで生きて元の世界に帰りたいのに。


「泣かんでや、A。」


いつから自分はこんなに弱くなってしまったのか。
自分の信念が揺らいでしまいそうだ。

これから先、どうしたらいいのか。



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