M!LKest -勇者M!LKの大冒険- 下 (ページ5)

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第十八話② ページ5

仁人「太智…舜太…瑞生…琉弥…！！わ、私は一体何してるんだ…？！こ、こんなこと…！！くそおお！！」

勇斗「待てよ仁人！！」

勇斗は駆け出す仁人の体を押さえつけた。

魔王「ほう、どうやらまだ無駄に突っ込もうとしないだけの利口な奴が数人いるようだな」

勇斗「無駄なもんか…！！こいつらの思いが、行いが無駄なもんか！！！」

仁人「勇斗…！放せ！！私はもう我慢できない！！！よくも私の大切な仲間を！！！」

仁人は光を放ち、魔王にぶつける。

しかし、その攻撃も、魔王の片手でむなしく弾かれるだけだった。

魔王「何だ今のは。弱すぎて反撃する気にもならんな」

仁人「ば、馬鹿にするなああ！！！」

勇斗「落ち着け！！ここは俺が食い止める！柔太朗と2人で皆を抱えて逃げろ！！」

柔太朗「一人でどうにかなると思ってるのか…」

勇斗「さあな…。でも全滅するよりはマシだろ？それにほら、俺の能力って最強らしいし！なんとかなるだろ！」

柔太朗「…気に入らない。魔王に操られていた時の罪滅ぼしのつもりか？その役目は俺の方が適任だ」

勇斗「じゅ、柔太朗？！」

柔太朗「お前たちは俺が認めた仲間だ…。"あの時のように"こんなとこで全員死なせるわけにはいかない…！さっさと行け！」

柔太朗は分厚い氷の壁を作り出し、皆を守るようにバリケードにしていく。

勇斗「…ありがとう柔太朗！！ほら仁人、行くぞ！！！」

仁人「くそ！くそお！！」

仁人と勇斗は柔太朗を背に、倒れた皆を抱きかかえる。

魔王「つまらん時間稼ぎだ」

魔王は黒い氷の結晶を無数の鋭い槍の形に凍らせると、それを柔太朗の作り出した壁めがけて投げつける。

黒い氷の槍は、柔太朗の氷をいとも簡単に砕くと、柔太朗の体すら貫いた。

柔太朗「が…は…」

柔太朗の白銀のローブが真っ赤に染まり、地面に力なく倒れこむのが見えた。

仁人「じゅ、柔太朗まで…」

仁人はその場で膝をついた。

仁人「そんな…皆…倒れていく…」

勇斗「しっかりしろ仁人！！諦めんな！！」

仁人にはもはや勇斗の声も聞こえない。

ただ目の前の光景に絶望して、心が折れてしまった。

仁人は、すっかり戦う気を失い、その場でただ項垂れるしかなかった―