第三話�� ページ8
それと同時に、声のするほうから勢いよく何かが飛んでくる。
それは見事な放物線を描き、ひらりとそれをかわした仁人を通り越し、太智の顔面目掛けて飛び込んだ。
太智「ぶっ痛っったあああ！！！！？いや、熱っつううううう？！」
太智の顔にめり込んでいたのは、炎に包まれた丸い球体。
仁人「くっ、敵襲か？！どこだ！」
「すみません！大丈夫やった？！」
奥の林の茂みから、真っ赤なローブ姿の少年が駆けてくる。
太智「こいつが魔物か？！俺の雷でビッリビリのバッリバリにしてやるぅうう！」
「ちょ、ちょっと待ってや！落ち着いて！ほんまにごめん！」
仁人「太智、待て！こいつ、人間だ」
太智「人間？！でも火の玉が飛んできたぞ？！」
「あぁ、これ俺のボール！拾ってくれてたん？」
太智「いや、拾ったんじゃなくてお前が飛ばしてきたんだよ！」
「ありがとうっ！」
太智「ぐぬぬ！そんな笑顔で言われると、怒るに怒れない…！」
笑顔で少年はゴウゴウと燃える球を素手で掴んだ。
仁人「な？！熱くないのか？！」
「ん？あぁこれ？なんか3日ぐらい前から俺の蹴るボールが燃えるようになって、それで俺も触れるようになってたんさ」
仁人「一体何してたんだ？」
「ただサッカーしてただけなんやけどなぁ」
太智「さっかぁ？」
「俺の村で今、流行ってるんさ。ボールを蹴ってゴールにシュートするんや！あっ、俺は舜太！よろしく！」
そう言って舜太は右手を差し出して握手のポーズをとった。
仁人「！ちょっと良く見せて！」
仁人は舜太の右手をつかむと、その甲に目を向けた。
太智「赤い、牛乳瓶！！！」
仁人「そうか、君も勇者だったのか！」
舜太「勇者？」
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作者名：milkssss | 作成日時：2019年7月15日 20時
