セツナサノ ○A○RA○SHI○ (ページ46)

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「いつもここで飲んでるよね」

オツキサマの息づかいがピタリと止まる。

「アイドルって、ヒマなんですか」

皮肉っぽく返す横顔も

やっぱりキレイで

胸が熱くなる。

だけど、

かわるがわる慰めに来るヤツらとは

一緒にされたくねぇんだよ。

「最近来ないの？いつも一緒に飲んでたお兄さん」

オツキサマから笑顔が消える。

そんな表情にさえドキっとする。

「しょうがないよねぇ...子どもいるんだし」

片肘ついて窓の外を眺めて

オツキサマを横目で見ながら

カミングアウトする。

彼女の顔から血の気が引いていく......

「........っ。なんで.....」

凍りついた目でおいらを睨む彼女は

さっきまでの綺麗なおねえさんとは別人。

キミにそんな顔させられんの

おいらだけだろ.....？

ずっと、見てたんだよ。

幸せそうに笑った日も

人知れず涙した日も

ぜーんぶ。

「......いつから......知ってたの？」

震える声をしたキミは

こっちを見ない

その瞳が

涙で濡れているから。

「いつからかなぁ。もうね、だいぶ前」

キミが幸せそうに笑ってた頃から

知ってたよ

「惨めな女だって......笑っちゃうでしょ？」

溢れる涙をかくすように

キミは笑ってつぶやく。

そんなこと

「笑わないよ」

キミがこっちを見ないから

おいらも見ないで言い返す。

だって

「おねえさん幸せそうだったもん。」

そうつぶやいたら

ずっとこらえていた

オツキサマのナミダが

頬を伝って

流れ落ちた。