セツナサノ ○A○RA○SHI○ (ページ5)

今日:1 hit、昨日:41 hit、合計:277,244 hit

5 ページ5

季節は冬になり

就職が決まり始めた奴もチラホラと出てきた

ゼミでは恒例となっていた飲み会でも

話題は専らそれだった

どんなに仕事が忙しくなっても

ゼミの飲み会だけは

顔だけでも出すようにしていた。

もちろんそれは

君に会いたかったから。

撮影が長引いたある日

小一時間くらいは参加できそうだと向かった居酒屋

店員に案内された個室

扉を開けようとして

手が止まる

「卒業したら結婚するんだー！？」

「マジでかよ！？」

「えー！！いいな～！」

その相手が君じゃないことを確認するため

耳をそばだてる

「よかったね。おめでとう…」

その声が君だったことを知り

胸をなでおろす。

早く俺も祝福の輪の中に入ろう

そう思って扉を開けようとして

また止まる

「結婚ってあこがれるよねー」

「あんたはどうなのよー」

その対象は

君だ。

「……そうだね。……いつかは…したいな。」

遠慮がちに答えた君の声を聞いて

切なくなる

君も

いつかは誰かの元へ

いってしまうのか………