君は僕の太陽【fischer's】 (ページ29)

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ードンドンッ

何かニブい音がする。

『シルク〜！手がふさがってるからドア開けてくれる〜？』

シ「ごめんごめん！」

俺がドアを開けてやると、トレーにカップを乗せてAが立っている。

『変なとこ見てないよね？』

シ「見てない見てない！ってか部屋に物が少ないよな？」

『女の子っぽくない部屋でしょ？』

シ「俺はさっぱりしてていいと思うけど？なんつーかマサイの家に似てる。」

『そういえば、マサイくんの家ひとり暮らしの割にキレイだもんね。』

マサイの家行ったことあんのか。俺は動揺した顔を隠すようにお茶を飲んだ。

『マサイくんお昼くらいには来れるって。』

シ「じゃあ明日の数Ⅱの勉強すっか？」

『お願いしますっ！』

苦手だと言いながらコツを教えてやると、Aはするすると解いていく。明日のテストも大丈夫そうだな。……そろそろこいつの出番かな？

シ「なぁ、A。机の下に何か落ちてねぇ？」

『えっ？机の下？』

何も考えずにAは机の下を覗いた。

『っキャーーっ!!!!シルク、シルクっ！！！』

ードンッ！

シ「いってぇ……頭打った……、

あわてて机から飛び退いたAに抱きつかれて、俺は支え切れずに倒れてしまった。

『ヘビっヘビがいたのっ！』

こいつまだおもちゃだってことに気づいてないのか、俺の胸にしがみついて離れない。俺は背中をポンポン子どもをなだめるように叩いてやる。

シ「ごめん！あれおもちゃだから！」

『えっ！？お、おもちゃ？………良かったぁ……』

シ「だからもう退いてもらっていいか？」

これ以上ひっついてられたら俺の理性が保たねえ。

『………あの、腰が抜けてうごけないの。』

シ「じゃあ、ちょっとごめんな！よっと、」

俺は、A抱えたまま力をいれて、起き上がった。俺の膝の中にAがいて座ってる形になっちまった。まだ涙目なこいつから視線を反らせない。……キス、できる距離なんだよな。Aも目を反らさない。自然に吸い込まれるように二人の距離が近づいてゆく。

ーーピンポーン

『っ、マ、マサイくんが来たのかも！』

Aはあわてて立ち上がって部屋を出ていってしまった。今、マサイが来なかったら………
って何考えてんだよ！でも修学旅行の時とは違う。あいつも俺を拒んでなかった。……本心が見えねぇ。

シ「あーもぅわかんねぇっ！」