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彼岸花 ６２ ページ12
彼女は分かっていた
もう限界を超えていること
それでも踏ん張っていたのは彼との約束があったから
それを果たすまではと、強い意志が彼女を引き留めているのだろう
「みんな、今日まで本当にお世話になりました。今まで本当にありがとう。侑士君、跡部君、向日君、宍戸君、じろーくん、長太郎君、若君、樺地君、みんなと出会えて私は凄く幸せだったよ。ずっと隠してた。私の命はもう、長くない。もしかしたら話すのも今日で最後かもしれない。みんなに感謝したいのに、こんな時でさえ起き上がれなくて本当にごめんね。みんなの顔もう１度見たかったな」
それから彼女の病室からは１時間ほど泣き声が無くならなかった
みんなが悲しんで、みんなが奇跡を願って、みんなが自分を責めた
「私は生まれ変わっても、またみんなに会いたい。みんなに出会いたい」
これが最後
だからさようなら
これからのみんなの未来は笑顔が溢れて幸せな毎日になりますように
彼女は声に出さず心から祈った
仲間へのエールを
彼岸花…また会う日を楽しみに
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作者名：神月しずく | 作成日時：2020年3月11日 20時
