師匠、好きになってもいいですか？【文豪ストレイドッグス】【太宰治】

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別に、一人が寂しいとかそういう意味じゃないし。

とかなんとかブツクサ言いながら、太宰が流れてそうな川岸の歩道を歩く。

お昼過ぎだからか少々人も多く、買い物帰りであろう主婦や親子ずれ、ジョギングをしている人など様々だ。

ぽかぽかと気持ちのいい日差しが敦を照らす。

＿＿ああ、いい天気だなぁ。こんなにのんびりできるなら、太宰を探しに行くのもいいかもしれない。

ちなみにこう思ったのは今日で５回目くらいだろうか。


お散歩気分で歩いていると、懐かしい場所にたどり着いた。


「久しぶりだなーこの河川敷」


太宰と初めて出会った場所だった。

あの時は空腹だったが、こうなったのも太宰のおかげだ。

＿＿そうだ、意外とそこらへんに引っかかってるかも。


そう思い、急斜面の土手をこけないように下る。

柔らかい緑の芝生に腰を掛ける。

ここであの日の即興劇でもしたら太宰さんも流れてこないかなー


「なんて、或るはず…ってあれ、もしかして」


なにか、既視感のあるものが流れてきた。

水面から生える二つの足。

わらわらと群がってゆく烏。

引っかかっている草。


「だ、太宰さん！？」


＿＿うそでしょ！？

いや、もしも太宰ではなかったとしても、流れてる人を助けないわけにはいかないだろう。


急いで川に飛び込み、人をひっ捕まえる。

数メートル流されたが、陸に上がることができた。


簡潔に言うと、流れていたのは太宰ではなかった。

しかし、見覚えのある女性だ。

たしか、先ほどうずまきにいた女性ではなかっただろうか。

確信は全くない。だって、じろじろ見るとかマナー的に行けないと思うから、見てない。


でも、この特徴的なコートは覚えている。

冬でもないというのにファー付きの真っ白なコートを着ていた。

今は、汚れたからか純白ではない。

一つ言うなら、このコートが水を吸って途轍もなく重かった。





　

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