トリップしたら銃撃戦の最中だなんて聞いてない！！ 【文豪ストレイドッグス】

第十一話　夢野久作 ページ15

「A、絶対に外に出るでないぞ！」

『らじゃ！』


姐さんはそう言って何処かへ走り去ってしまった。


勿論、そう言われて大人しく待つほど私は偉い子ではないのである。


幸い折れているのは腕だし普通に歩ける。

いざとなったら中也さんを召喚する。


それにしてもＱちゃんって言ってたなぁ。

という事は太宰さんに座敷牢に閉じ込められるときのエピソードってところかな。


なるべく干渉するのは避けたいけどまぁいいか。

どうせあと数年でとんでもない事やらかす予定だし！


『ふんふふぅん〜』


そうときまったら行動を起こすだけ！


私は病室の扉を少しだけあけて外の様子を探る。

静まり返っているフロア。


遠くで誰かの叫び声が聞こえた。

かなり小さいから恐らく違う階だ。

女か男か分からないような悲痛な叫び声。


取りあえず私は其処に向かうことにした。

多分皆そこに集まっていると思う。


エレベーターで一階一階行くのは面倒くさいので階段で行く事にした。


数回降りたところで人が群がっているのが分かった。

其処には姐さんの姿も。


「おい、しっかりしろ！！」


姐さんの腕の中には一人の構成員が。

恐らく姐さんの部下だろう。


すでに息絶えているようだった。


『(…惨いな)』


見たところ出血性ショック死だろう。


その場は、騒然と貸していた。


Ｑの能力を止めるには太宰が必要になる。

しかし今、彼は此処にいない。

其れに、Ｑも見当たらない。


Ｑは一体どこにいるのだろうか。


「ねぇ、そこの…女の子！」

『へ…私？』


後ろから肩をたたかれた。


綺麗なお星さま。

特徴的なツートーンの髪。


私は咄嗟に距離をとる。


「へぇ！ すごいや！ こんなにとっさの判断ができる人ってなかなかいないよ？ 今のポートマフィアには。 君、僕の異能力を知ってるでしょ。 なんでかなぁ…首領たちしか知らないはずなのに」


Ｑはペラペラと喋る。

言葉から考察するにＱは此処に来たばかりだ。


『…知ってるから…なに？』

「僕は夢野久作！ お友達になろうよ！」


そう言って手を差し出すＱ。

安々とその手に触れるほど私も馬鹿ではない。


「…否？」

『否じゃない。 けど、君に触れることはできない』

「いつも思ってるんだけど、僕の心を傷つけた場合って異能力なんで発動しないんだろう」


『私はA。 今すぐに…この人たちの銃を下げて』

「無理だよ。 僕が操ってるわけじゃない」




　

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