片寄くんちの妹はお姫様？

発見 ページ16

涼太side

撮影が終わって佐伯さんに声をかけると、Aが居なくなったと言われた。

Aが座っていた席には空のコップ。

トイレに行きたくなってスタジオを後にしたことはわかった。

けど、まだ3歳児。

広すぎる場所で迷子になって、可愛いAのことだから誘拐なんてことだってありえる。


「居なくなったってどうゆうこと？
Aまだ3歳だよ！誘拐とかされたら···」


平常心を保てなくて、マネージャーにあたってしまった。

そんな俺をメンバーが宥めて、一緒にAを探してくれることに。

Aが行きそうなトイレだったり探したのに、見つからなくて。


「···っ、A」


気持ちばかり焦っていた時、


「涼太ぁー！」


目の前から走ってくる佐伯さん。


「Aちゃん見つかったよ！
三代目の楽屋で保護されてるって」

「本当ですか！？」

「早く行ってこい」

「はいっ！」


やっと、会える。

可愛い可愛い、俺の妹。



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三代目の楽屋の前、ひと息ついて

コンコン、っとノックをする。


「片寄涼太です」

「入っていいよー」


失礼します、と楽屋のドアを開けて目線の先にはAが。


「Aっ！」


名前を呼ぶと、


『にぃにっ！』


そう言いながら、俺の胸に飛び込んでくるAを抱きしめた。

Aは不安だったり寂しかったりするとおにいからにぃに呼びに変わる癖がある。

皆に迷惑かけたし、本当は沢山叱ろうと思った。

けど、にぃに呼びを聞いたらそんな気は失せて


「だから、あまりジュース飲むなって言ったでしょ」


これが精一杯の言葉だった。


『ごめちゃい、にぃに』


ちゃんと謝るAは偉いなって思いながら


「不安で寂しかったね。兄ちゃんこそごめん」


仕事場に連れてこなければ、母さんの頼みを断ればこんな事にならなかったはず。

だから俺も謝る。


『にぃに、すきっ。だいすき』


そう言ってギューッと抱き着くAを抱きしめ返す。

結局、俺もAの可愛さには勝てなくメロメロなわけで。

誰にも渡さないよってゆう予防線も兼ねて、三代目さんの前で兄妹だからできるイチャイチャをする。


「本当にありがとうございました」


また、と言って部屋を出ようとするとAが


『あーとっ！』


ありがとうの挨拶をしたのだ。


嗚呼、また、Aの虜になる人が増えた。

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