【FGO】抗えない誘惑【短編集】

#アーラシュ 警鐘 ページ26

〖禁断の恋〗


それは誰もが人生で一度経験したいと思う恋愛である。
例えば、先生と生徒の恋。兄妹の恋。あるいは、恋仲が居る中での恋。この世には様々な恋の関係性がある。

ここ、人理修復を主な仕事としているカルデアには今現在恋に悩む一人の女の子が居た。




『はぁ〜〜〜〜〜〜』

大きなため息をつく。先程まで話していたある男に対しての心の腫瘍がある日から除去されない。

自分でもなんでこんな感情を持ったかも、明確にいつ病を患ったのかも分からない。

ただ、分かることはその男が‹鈍い›と言うことだけ。


『あそこまでやってまだ気付かないの…？』

私が嘆いているのは、ある男に取ったある行動であった。事を細かく説明すると、その男は私が最優遇しているサーヴァントであり想いも寄せている相手である。

2人で今後の予定を立てていた時のこと___



「よぅ、マスター。ぼちぼち出来上がったか？」

一緒に作戦を立ててくれているのは、私の想い人アーラシュである。

大英雄である彼に指南を貰うと何かと上手く行きやすい。お互い尊敬し、信頼し合う中だと思っていた。

彼が私の隣に腰かけると、「どれどれ…」と言いながら左手を顎に当て考えるポーズをとる。

『ど、どうかな…？』

一枚の紙を前にして男女二人が肩を寄せ合う形をとる為、想いを寄せてる身としては心臓がもちそうもない。目の前の男は真剣に紙とにらめっこしているが私は彼との距離に胸がきゅうきゅう締められていた。


彼は数十秒考えた後、「そうだなぁ、少し書くもの貸してくれないか？」といい、私が先程まで書いていた紙へと本格的に向き直した。


なんて言うか、この状況は乙女Aとして見過ごす訳にはいけない。チャンスだぞ、何かアクションを起こさなければ彼には絶対に気付いて貰えない。そう分かっていた私は早速行動に出る。


『あ、あのアーラシュ？この後何か__』


そう言いかけた所でがばっ、といきなり私の方に向くアーラシュ。勢いの良さにびくっ、と身体が跳ねる。


「あっ、いや何でもねぇ。この後は少し用事があって…マスターの頼みなんだが他のやつにでも頼ってくれ。」

そう言ってまた、作業に戻ってしまった。
お誘いを断られるなんてものは何回も経験している私にはそんな攻撃効かなかった。

さて、次は今までしたことが無い身体的接触。
どう自然に、彼には触れるかが1番の鍵となる。

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