自分終了。 ページ24
貴方side
「Aっ!!」
「あれ、虎。
遅いよー。」
階段から勢いよく虎が上がってきた。
「んなこと言ってる場合じゃねぇ!!
火事だ!とっととここを出ねぇと崩れっぞ!!」
「は?火事?」
何言ってんの?と言おうとしたその時、
虎の背後から真っ赤な炎が近づいてきた。
「うわっ!!」
「虎!」
「……大丈夫だ。
チッ、ここまで来てんのかよ……っ!!」
「っ、早く城を出よう!」
「バカ!結界で覆われてるこの城からどうやって出るってんだよ!」
結界に覆われたこの城じゃ、入ることも抜け出すことも出来ない。
このままじゃ、誰にも知られずに死んでいくのみ……!!
「おい壱!!お前、解術は!?」
虎は壱の胸倉を掴もうと私に突っかかって来る。
「やめなよ!こんな状態でまだ力を使わせるって言うのかアンタは!」
「でなきゃ他に誰がやんだよ!!!
俺だって出来るもんならやりてぇけど、術書がなけりゃ……!!」
パラパラと落ちてくる木屑に気づいた。
それは、崩壊を表す。
.
「っA!!」
頭上に落ちてくる天井を、
ゆっくりと、見上げた。
.
.
「っぐっ!!」
「いてっ!?」
反射的に壱を虎へぶん投げた。
天井のお陰で私と、虎と壱に分断されてしまった。
唖然とする虎と壱に向かって、笑う。
「────やるしかない。」
「……お前、まさか、」
「元頭領を舐めないでよね。
解術の一つぐらい暗記してるっつの。テストに出たら100点取れるわ。」
と言っても部分落ちしてる所もあるけど。
取れても90点かな。
「ば、馬鹿言え!
今のお前の体でやったら……
死ぬぞ。」
『死』。
七年前のここでは、そんな事どうでもよかったけな。
死ぬとしても、日陰で死んでいく。
誰にも知られず、つまらなく。
死んでも生きても変わらない。
.
けど今は、帰らなくちゃ。
万事屋に、銀時の元へ。
また笑って、隣を歩かなくちゃ。
「そっちこそバカ言ってんじゃないよ。
諦めたら……えっと、
自分終了って言うじゃん?」
虎は壱と逃げる準備でもしなよ、と踵を返して言う。
「……はぁ..。」
大きな溜息が背中から聞こえた。
「なーにが自分終了だよったく。
そんなの、お互い様だっつの。」
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MiUmIu(プロフ) - vict tm 0206さん» コメントありがとうございます!今、低更新ですが……なんとか進めていきたいと思っていますのでよろしくお願いします!! (2017年4月22日 23時) (レス) id: 042c49640d (このIDを非表示/違反報告)
vict tm 0206(プロフ) - 続きが楽しみです! (2017年4月22日 14時) (レス) id: 260e4dcf34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MiUmIu | 作成日時:2017年4月12日 23時