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そもそも彼女は何故今日はこんな所に来たのだ。
名目上、招待状は送ろうかと思ったが、どうせ来ないと思い送ることもやめたのに。
「……A」
ようやくレグラヴァリマが口を開いた。
存在だけで周りを圧倒する彼女の一声はすぐにこの会場を静かにさせた。
「……悪、かった……」
レグラヴァリマはゆっくりと首を垂れていく。
Aは目を見開きながらも、すぐに真っ直ぐに彼女を見返した。
あのレグラヴァリマが、と今度は会場が騒がしくなっていく。Aの視線の先にはムジカとソンジュもこちらに注目していた。
「なんの謝罪ですか、レグラヴァリマ様」
「……そちに行った暴虐非道の数々。謝るのだ。許してくれ」
「暴虐、ねぇ……」
わざわざそんなことを言われなくてもわかってる。
初めてレグラヴァリマの屋敷に行った時、誘拐された時……ノーマンを奪われた時。
一つ一つ、頭に刻み込んでる。
この2年間、考えなかった日なんてない。
だから経営力で対抗した。
真っ直ぐに彼女と戦うために。
私は彼女のような卑怯な手は使わまいと。
心臓が張り裂けそうな思いをしながら。
「……私はね、レグラヴァリマ」
どうして私だけがこんなに我慢しないといけないのだろう。
あれだけ彼女に見下されて、あれだけノーマンを餌にされて。
苦しかった。
ギルダやパパの前では平気なフリをして、社員の前でも完璧な社長を顕在させて。
「貴方が嫌いよ」
だからこれぐらいは許しなさいよ。
「あーあ。もう下手に敬語を使って愛想を振りまくのもバカバカしいわ。
なんなのよアンタは!!! 壊すだけ壊しといて急に弟引き連れて謝ってきて! 都合がいいのもいい加減にしなさいよ!」
「ちょ、A様落ち着いて、」
「まぁある意味感謝はしてるわ!!!」
ギルダに止められながら、Aはそう叫んだ。
これだけの人に囲まれ、マーガレット家の立場なんぞ頭にないかのように。
隣のビルはくすりと微笑んだ。
「貴方のおかげで、私はさらに強くなれた。
貴方に負けない経営を考えた。貴方に負けないコスメを作ろうと考えた。
貴方に負けないよう、必死になれた。
……私がどんな私であろうと、必死に」
ある時はマーガレット家のお嬢様で、ある時はParis・Daisyの社長で───────
ある時は、たった一人の男を愛する女。
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響宇(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。夢小説を読みながら涙を流したのはこの作品が初めてでした…!とても楽しく拝見させて頂きました。これからも何度も読み返し愛読させていただこうと思います、ありがとうございました!! (2021年8月28日 3時) (レス) id: 56959af681 (このIDを非表示/違反報告)
ラムダ(プロフ) - こんなにドキドキハラハラしながら読んだ作品はこの『Lady』が初めてです!とっても好きになりました!!!好きになりすぎて3回も読んでしまいました^_^これから応援しています!! (2021年3月30日 1時) (レス) id: 963810d561 (このIDを非表示/違反報告)
MiUmIu(プロフ) - いろはさん» コメントありがとうございます!楽しく読んでいただけたようでとても嬉しいです。所々に伏線を隠しているのでぜひ色々見つけてみてくださいね。これからも応援よろしくお願いします! (2021年2月9日 8時) (レス) id: c6740f863a (このIDを非表示/違反報告)
MiUmIu(プロフ) - 羽鶴さん» コメントありがとうございます! 私の作品の数々を読んでいただき嬉しいです。『Lady』含め作品たちへの応援ありがとうございます!ぜひまた遊びに来てくださいね (2021年2月9日 8時) (レス) id: c6740f863a (このIDを非表示/違反報告)
いろは(プロフ) - 今まで見た約ネバの現パロ小説の中で1番好きで、気に入りました!!(上から目線ですみません)そして、物語の伏線など、凄いと思いました!これからも応援しています!! (2021年2月7日 19時) (レス) id: 9650a3da61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MiUmIu | 作成日時:2020年10月10日 8時