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A奪還作戦から一夜明け、ギルダはAの部屋の前に立っていた。
ノーマンがこの屋敷を去ってからAは1人、この部屋から出てこなかった。見回りの執事から聞くとずっとすすり泣いていたようだ。
無理もない。互いに惹かれあっていた2人。まさかこんな形で別れるとは思わなかっただろう。もちろんギルダも。
6時のベルがどこからか鳴った。
今日も一日が始まる。ノーマンがいなくなった今、臨時でギルダがAの専属メイドとなることになった。
深く息を吸ってノックをしようとした時、中から鍵の開く音がした。
慌ててドアから数歩離れるとゆっくりと扉が開いていく。
「……、お嬢様……」
泣き腫らし真っ赤になった目でAはギルダを見つめ返した。
「……お腹がすいたわ」
「え、」
いつの間にかネグリジェに着替えていたAはギルダの横を通り過ぎ、ダイニングへと歩いていく。呆然とするギルダに、Aが振り向いた。
「ほら、朝ごはんお願いね」
「え、あの、」
「今は貴方が私のメイドでしょう、ギルダ」
ハッとしてギルダは慌ててAの後ろについた。
昨夜のご乱心から一転、Aの背筋は誰かと似てピンと延び、腫れた目を除いて顔つきはしっかりとしていた。
「お嬢様、メイクは……」
「夜のうちに落としたわ。メイクしたまま寝るなんてコスメ会社の社長として失格だもの」
ダイニングには既に朝食が並べられている。フレンチトーストにサラダ、スクランブルエッグとデザートのフルーツ。
そして、ミルクがコップ一杯。
心配する従者たちを他所に、Aは早速フレンチトーストに手をつけた。
メープルシロップたっぷりのフレンチトーストはAの好物だった。
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響宇(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。夢小説を読みながら涙を流したのはこの作品が初めてでした…!とても楽しく拝見させて頂きました。これからも何度も読み返し愛読させていただこうと思います、ありがとうございました!! (2021年8月28日 3時) (レス) id: 56959af681 (このIDを非表示/違反報告)
ラムダ(プロフ) - こんなにドキドキハラハラしながら読んだ作品はこの『Lady』が初めてです!とっても好きになりました!!!好きになりすぎて3回も読んでしまいました^_^これから応援しています!! (2021年3月30日 1時) (レス) id: 963810d561 (このIDを非表示/違反報告)
MiUmIu(プロフ) - いろはさん» コメントありがとうございます!楽しく読んでいただけたようでとても嬉しいです。所々に伏線を隠しているのでぜひ色々見つけてみてくださいね。これからも応援よろしくお願いします! (2021年2月9日 8時) (レス) id: c6740f863a (このIDを非表示/違反報告)
MiUmIu(プロフ) - 羽鶴さん» コメントありがとうございます! 私の作品の数々を読んでいただき嬉しいです。『Lady』含め作品たちへの応援ありがとうございます!ぜひまた遊びに来てくださいね (2021年2月9日 8時) (レス) id: c6740f863a (このIDを非表示/違反報告)
いろは(プロフ) - 今まで見た約ネバの現パロ小説の中で1番好きで、気に入りました!!(上から目線ですみません)そして、物語の伏線など、凄いと思いました!これからも応援しています!! (2021年2月7日 19時) (レス) id: 9650a3da61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MiUmIu | 作成日時:2020年10月10日 8時