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『ノーマン? いい名前だねぇ〜』
『エマー!レイー!2人もノーマンに学校案内しようよ!』
『えー?皆で帰った方が楽しいよ?ねぇエマ?』
『お願い!ノート見せてノーマン!』
『うわっ!皆と同じ高校受かってる〜!』
『また一緒だね、ノーマン!』
『……私、も、ずっと好きだった……っ』
思い出すのは、君のことばかり。
.
「……っ、好きっ、……」
絞り出すように溢れた言葉は、コーヒーの中へと落ちていく。
ぽとりと落ちて、広がって、波紋を作って。
たった1人のための言葉が悲しく埋もれてく。
昔から、これからも、何度も何度も言いたかったこの一言が。
「会いたいよ……会いたい。
抱きしめたい。隣にいてほしい……よ」
やっと言えた本音。
ぽろりぽろりととめどなく溢れていく。聞いてほしい人がいないのに。受け止めてほしい人がいないのに。
「……そうだろ。そうだろうよ。
だったら言いにいけよ。今すぐ」
「でも、」
「探しに行きゃいいだろっ!どこへでも!世界の果てだろうと!
お前はなんのためにその脳を持ってんだよ!フルに使え! 使えるものはなんでもっ!!
そしてそのカッコ悪い顔を見せに行け!」
もう、いいのだろうか。
一日中優しい顔を見せなくても。疲れた顔を正直に見せても。
そして言わなきゃ。
僕には君だけだ、って。
君のためならラートリーの名前だってこの頭脳だって捨ててやる。
邪魔だと言うのなら、全て、ゴミ箱へ。
「……優しいから、それはダメって言うんだろうけど」
「は?」
「ううん、こっちの話」
そっとポケットの中に突っ込んだままの左手を握る。薬指に当たる固いリングは、決して諦めないという決意の塊だ。
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MiUmIu(プロフ) - ちょこばななさん» コメントありがとうございます!別の作品でのコメントも拝見しましたがサマーウォーズの私の作品も好きだいらっしゃるとか!?本当にありがとうございます!これからもよろしくお願いします (2020年10月15日 9時) (レス) id: c6740f863a (このIDを非表示/違反報告)
ちょこばなな(プロフ) - MiUmIuさん» おもしろかったです!最高です…!さすがとしか言いようがないです笑 (2020年10月14日 21時) (レス) id: 25d5b056bf (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわ(プロフ) - これからも頑張ってください (2020年6月13日 9時) (レス) id: 25ce3e61b4 (このIDを非表示/違反報告)
MiUmIu(プロフ) - ふわふわさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです! (2020年6月12日 18時) (レス) id: c6740f863a (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわ(プロフ) - すごい面白かったです (2020年6月12日 15時) (レス) id: 25ce3e61b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MiUmIu | 作成日時:2020年6月5日 13時