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じゃあ次行こうか、とカウンターを出ていこうとしたルーカスさんに着いていこうとした時、レイさんが何かを呟いた。
「ひつじ……」
「へ? 」
一瞬だったけど……今、ひつじ、って……。
はっ、と慌てて自分の頭を腕で覆った。絶対この髪の毛のせいだ!!
この白いくせっ毛!! 小さい頃から羊だとバカにされてちょっと気にしてるのに!!
「レイ……」
「あ、やべ」
オリバーさんに、ごめんね、とジェスチャーを送られたけど……私の心の中では決まった。
レイさんは絶対私の敵だ!!
軽くイライラしながらカウンターを出るとすぐにフロアーになる。
4人席が2つ、2人席が3つ、カウンターは4つ。今埋まってるのはそれぞれ2人席に座るOLの2人組と1人おばあさんだけだった。
お客さんのいないカウンターでグラスを磨いている2人の方。その方達に近づいていく。
「おーい、ちょっといい? 新人さんの紹介ね」
さっきと同じように自分の名前を言う。
2人とも優しく返してくれた。ザックさんとヴァイオレットさん。ホール担当らしい。
……ヴァイオレットさんは、男か女かどっちなんだろうか。
店の壁には大きな窓が2枚ついていて、2人席からは外がよく見えるようになっている。
外には壁に沿うようにお花が置かれていて、その花も丁寧に世話されているようだった。
最後に、レジカウンターでレジをいじっているのが、強面のユウゴ店長だった。
「どーも、恐怖の店長さん?」
「なんだその挨拶は。クビにするぞ副店長」
「わぁ怖いね。ほら、君が珍ーしく採用した子!」
少し後ろにいた私をずいっとユウゴさんの前に押し出すルーカスさん。……この人も案外油断出来ないかもしれない。いや間違ってはいないんだけど。
「あ?このチビが?」
「A、です……あの、面接で最後に答えた……」
「……あぁ、こいつね。
どーも、店長のユウゴだ。よろしく」
それだけ言うと、店長はすぐにレジに目を戻した。
意外と怖くない、かも。でもイライラすると絶対当たってくるタイプだ……多分。
「じゃあ、早速お仕事始めようか」
「よ、よろしくお願いします!」
店員さんはこれで全員だそうだ。
ルーカスさんの後に続き、カウンターを通ってまたキッチンに入る。
カウンターを通る時はレイさんの背中を少し睨みつけてやった、ばーか。
「……」
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maki - うわぁぁ〜素敵な作品をありがとうございます!感動です!!(語彙力) (2021年2月19日 13時) (レス) id: 4c137b95fd (このIDを非表示/違反報告)
MiUmIu(プロフ) - いうさん» コメントありがとうございます!レイには絶対黒い腰エプロンをしてもらいたいと思いながら作品書いてました(笑)閲覧ありがとうございました!またよろしくお願いします! (2020年6月3日 21時) (レス) id: c6740f863a (このIDを非表示/違反報告)
いう - 字数オーバーだったので追記。 素敵なお話ありがとうございました(*^ω^*) (2020年6月3日 20時) (レス) id: ae74ce0628 (このIDを非表示/違反報告)
いう - 夢主の心情や恋模様に合わせて、私もドキドキしたり心がキュッとしたり身体が熱くなったりしました!オリジナル設定も良い…絶対みんなカッコイイですカフェ服。さりげなくデートとか、二人の時間とか、最高でした!! (2020年6月3日 20時) (レス) id: ae74ce0628 (このIDを非表示/違反報告)
MiUmIu(プロフ) - うたねさん» コメントありがとうございます!毎日更新頑張りますね! (2020年4月18日 0時) (レス) id: c6740f863a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MiUmIu | 作成日時:2020年3月7日 14時