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「お客様、伝票には桃タルトとありますが……」
「いいや、こいつは桃なんか嫌いなはずだ！ そんなもの頼むはずがない」
「しかし……」
奥さんの目が泳ぎまくっている。
……可哀想だし、ここはこっちが引き下がろうか……いやそもそもパフェとタルトじゃ値段全く違うし……どうしよう。
その時男の手が動いた。
何が起こったのかわからなかったけれど、ただ何かが割れた音がしたのは理解した。
周りのお客さんのざわめきが強くなっていく。
─────その中で、自分のコーヒーカップを払い落とした、と気づいたのは数秒後だった。
「オレンジのパフェだって言ってるだろ！ 早く変えろッ！！！」
黒々としたコーヒーが床に流れている。やけにゆっくりとした動きだった。
トレーを握りながら、頭が真っ白になっていた。
この光景は、同じだ。
あの日と、同じ───────
「聞いてんのかッ！！」
はっと我に返った。
そうだ、破片を拾わなきゃ……っ。
「……っ、も、申し訳ございません……っ」
コーヒーの床に膝をつけて破片を拾おうとした時、誰かが私の腕をつかんだ。
「───────レイ、さん……」
「拾うな。切るぞ」
跪いていた私を無理矢理立たせると、もう片方の手で持っていた新しいコーヒーをテーブルに置いた。
「すみませんねお客様。こちらの確認不足かもしれません」
どくんと心臓が跳ねる。
私のせい、なの……？
私、ちゃんと聞いたのに。
「ホントだよ！ 最近の女は……」
「こんな迷惑な客、店にいれる前に確認すればよかったんですから」
「……え？」
思わずレイさんを見上げた。
今、なんて……？
周りのお客さんも、さっきの騒動から一点、しんと静まり返っていた。
「なっ……！」
「お客様、あのドアの張り紙が見えませんでしたか？ 『迷惑行為をするお客様はお断り』。ちゃんと確認してください」
「俺が迷惑だとでも言うのか！？」
レイさんに掴みかかろうとする男の腕を、レイさんは片手で押さえた。
「いっ……っ！？」
「あぁ、迷惑っすよ。少なくともこの店にとって。コイツにとっては」
払うように男の腕を離した。
横顔しか見えないけど、心なしか怒っているように見える。
私と話している時には、見たことの無いほど……。
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maki - うわぁぁ〜素敵な作品をありがとうございます！感動です！！(語彙力) (2021年2月19日 13時) (
レス) id: 4c137b95fd (このIDを非表示/違反報告)
MiUmIu(プロフ) - いうさん» コメントありがとうございます！レイには絶対黒い腰エプロンをしてもらいたいと思いながら作品書いてました(笑)閲覧ありがとうございました！またよろしくお願いします！ (2020年6月3日 21時) (レス) id: c6740f863a (このIDを非表示/違反報告)
いう - 字数オーバーだったので追記。 素敵なお話ありがとうございました(*^ω^*) (2020年6月3日 20時) (レス) id: ae74ce0628 (このIDを非表示/違反報告)
いう - 夢主の心情や恋模様に合わせて、私もドキドキしたり心がキュッとしたり身体が熱くなったりしました！オリジナル設定も良い…絶対みんなカッコイイですカフェ服。さりげなくデートとか、二人の時間とか、最高でした！！ (2020年6月3日 20時) (レス) id: ae74ce0628 (このIDを非表示/違反報告)
MiUmIu(プロフ) - うたねさん» コメントありがとうございます！毎日更新頑張りますね！ (2020年4月18日 0時) (レス) id: c6740f863a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：MiUmIu | 作成日時：2020年3月7日 14時
