三角方程式【約束のネバーランド】

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「はい、スリッパ」

「ありがと......」


リッカが持ってきてくれた、茶色い地味なスリッパを履いた。

まだ男子達はこっちを見てニヤニヤしてる。
くそう、アンタ達のも盗んでやろうか！犯人は私じゃないけど！




「1時間目、移動教室だっけ？」

「そうだよ、行こ！」



スリッパがパタパタして落ち着かない。早く上靴返せ。

教材を抱えて廊下に出ると、ばったりレイにあい、ぶつかりそうになった。




「わっ、ごめんレイ」

「いや」



待てよ、まさか今この瞬間も犯人に見られてるとか？
気安くぶつかりそうになってんじゃねーよ、って？.....それは不可抗力過ぎない？



「......スリッパ？」

「あっ」



しまった。レイに気付かれた。
レイなら絶対、なんで？って聞いてくる。でもその理由が『あなた達のせいです』とは言えないし、責任を負わせちゃいけないし......。




「......もしかして隠さ」

「ど、泥！ 泥まみれになったから今洗ってるの！」




レイの言葉を遮って適当なことを言った。
いや、私頭回らなさすぎでしょ。校舎内で泥って。そんなことなかなかないよ。


「は？」

「あーっ、と！ 私今から移動だから！ バイバイ！」

「ちょ、待っ」





リッカの手を掴み、廊下を走り抜けた。

......良かった、今日弁当の日じゃなくて。
そうだったなら昼休みに徹底的に質問攻めにされるに決まってる。




「A、いいの？ 言わなくて」

「言ったら絶対責任感じるよ。 レイはそういう人だもん」

「ふーん......」



とにかく、私の消えた上靴を探さなきゃ。
どこに隠した？上等だ！
絶対に見つけてやるんだから！

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