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次の日。
校門をくぐると、いつもの団体が姿を現した。
ある3人を取り巻く大多数の女子達。
『白王子』のノーマン君。
『黒王子』のレイ君。
『オレンジ王子(女)』のエマちゃん。
A組でテストはフルスコアが当たり前。
生徒会長、知識人、スポーツ万能の名でさえも弄ぶような3人だった。
「ノーマンくーん!こっち向いてー!」
「レイくんっ、一緒に行こー!」
「エマちゃんおはよーっ!」
取り巻きの女の子達が口々に3人に話しかけると、3人は少し困ったような顔をして歩きづらそうにしていた。
正直、近くであの3人が見られるのは羨ましい。
けれど私にはあそこまでする度胸はない。
今日もその横をただ通り過ぎる一般生徒となりえるのだった。
......だから昨日のノーマン君の看病は夢だったんだ、うん。
レイ君がお礼がなんとかかんとか、とか言ってたけどそれも夢。
私は今日も村人Aとして精一杯生きよう......。
って、そんなこと言ってる場合じゃない。
私はさっさと昨日忘れた数学のテストを回収せねば。
足早に教室へ向かう。
C組の扉を開けると、足元に何かが飛んできた。
紙飛行機だ。中に何か書いてあるのを見て開いた。
17点、という赤くデカデカとした文字が紙一面に書かれていた。
「おーっす!Aおはよー!」
「Aがレオナルドの17点を捕まえたぞー!!」
「返せA〜!」
「何してんの......」
リッカに聞くと、どうやら男子が机に残っていた『マヌケな』子達のテストを勝手に探って紙飛行機で飛ばしているらしい。
「現実逃避してテスト持って返らなかったバツだよね〜」
「そうだねー、とんだマヌケ......
あれ?」
ない。
机の中を探っても、私のテストがない!
取られた!
私もマヌケの1人だった!!
慌てて教室に落ちている紙飛行機を片っ端から拾っていくが、どれも違う。
23点、15点......私の数学の点数はこれじゃない。
「よっしゃ!A号いけーっ!!」
最後の1つ。
それが扉に向かってテイクオフ。
「私の名前付けるなーっ!!」
まずい。このままじゃ廊下に出ていく!!
誰だドアを開けっぱにした人!私だよ!
転ぶのを承知で手を伸ばす。
あと少しがやけに遠い。
「うわっ、!」
ずる、と足が滑った。
掠った指先も虚しく、飛行機は廊下へ旅立ってしまう。
転ぶ!
思わず目をつぶった。
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MiUmIu(プロフ) - 黒酢さん» コメントありがとうございます!返信遅れて申し訳ございません。これからもこの作品をよろしくお願いします! (2020年2月23日 23時) (レス) id: c6740f863a (このIDを非表示/違反報告)
MiUmIu(プロフ) - あられさん» コメントありがとうございます!返信遅れて申し訳ございません。続編でも面白くしていくつもりなのでぜひご覧ください! (2020年2月23日 23時) (レス) id: c6740f863a (このIDを非表示/違反報告)
MiUmIu(プロフ) - るみさん» コメントありがとうございます!返信遅れて申し訳ございません。続編が完成しましたのでぜひご覧ください! (2020年2月23日 23時) (レス) id: c6740f863a (このIDを非表示/違反報告)
MiUmIu(プロフ) - れいぴーなさん» コメントありがとうございます!返信遅れて申し訳ございません。スパ子はスっとあたまに浮かんだので自分でも笑いました(笑) (2020年2月23日 23時) (レス) id: c6740f863a (このIDを非表示/違反報告)
黒酢 - 続編楽しみに待ってます!!!更新頑張ってください!! (2020年1月20日 18時) (レス) id: b9e11986f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MiUmIu | 作成日時:2019年7月9日 22時