先に気づくのはどちらであるか(1) ページ22
＊
次の日。
テストを終えたノーマンは、いつもの日常が戻ってきたことに思わず笑みをこぼした。
今日からはまたAが観察官。
目の前のパイプ椅子に座り、バイタルチェックに抜かりなく書き込んでAの姿をノーマンは見つめていた。
「......何？」
「いや？別に？」
「なんだよー。気になるじゃん」
「なんでもないよ。
ほら、そこも書くんでしょ？」
あ、ほんとだ、とAはまたバインダーに目を戻した。
ノーマンがAを見つめていたのは、その表情にある。
初日、彼女に『感情が出やすい』と指摘されたが、こうして見るとAの表情もコロコロ変わっている。
書き間違えて焦った顔。
なんとか書き直せそうで安心した顔。
見てて飽きない。
「それで、今日のやつは？」
ノーマンが手を差し出すと、Aの表情が曇り出す。
やつ、というのはしばらく休載していたクロスワードの事だった。
おずおずと無言で差し出されたそれは、何枚にも重なっていた。
「えっ、何これ。
もしかして、今まで会えなかった分、ってこと？」
「うわぁぁぁ！言うなぁぁぁ！」
会えなかった日数、その分ほぼ全てある。
研究の合間にもこれを作っていたのだろうか。
「その......喧嘩はしてたけど、これは渡した方がいいかな、とか」
「でもバレちゃうかもしれないから辞めよう、とか？」
「そうそうそれ......って、
私の心読んでる？！」
「読んでないよ〜」
早速、ノーマンは一枚目に手をつける。
ノーマンがそれを解いている間、今度はAが背もたれにあごを乗せてそれを見ていた。
「何？」
「ううん、なんでもなーい」
「そっか」
お互い会話はない。
でもそれは、この前とは違って決まりの悪いものではなく、どこか心地良いものだった。
二人共、同時にそう感じながら。
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MiUmIu(プロフ) - みしょやす。さん» コメントありがとうございます！『皆様が驚くようなラストを』と思っていたので、そう思えて頂けて光栄です！もし次作が出来上がりましたら、そちらもよろしくお願いします！ご愛読ありがとうございました！ (2019年6月29日 13時) (
レス) id: c6740f863a (このIDを非表示/違反報告)
みしょやす。(プロフ) - はじめまして！ 完結おめでとうございます、最後はああやって終わるのか…と朝から衝撃にあいました笑笑 毎回毎回楽しみにしていたのでそれが終わっちゃったのは寂しいですが、ズルズルやることなくスパッとしていていいなとも思いました！（何様だ）本当にお疲れ様です (2019年6月29日 8時) (レス) id: 5dafdcb4c2 (このIDを非表示/違反報告)
MiUmIu(プロフ) - uaさん» コメントありがとうございます！ワンダーランドから読まれているのですね！？本当にありがとうございます！！すごく嬉しいです！次回作もぜひよろしくお願いします！ (2019年6月28日 22時) (レス) id: c6740f863a (このIDを非表示/違反報告)
ua(プロフ) - 完結おめでとうございます！そしてお疲れます！ワンダーランドからMiUmIuさんの作品を読ませていただきだいてます。主人公の設定とかストーリーが好きすぎてどうしようもないです笑新作が出来たらまた読ませていただきます！本当にお疲れ様でした！ (2019年6月28日 20時) (レス) id: bfc46cf277 (このIDを非表示/違反報告)
MiUmIu(プロフ) - rin:)さん» わぁー！コメントありがとうございます！有難いお言葉.......光栄です！！ (2019年6月24日 19時) (レス) id: c6740f863a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：MiUmIu | 作成日時：2019年6月7日 6時
