#８ 致し方ないこと ページ8
私は流されるままに
側室となって殿にお目通りする日を迎えましたが…
…殿は
とてもお優しい方でした
そういえばなんとなく
ユノさんに面影が似ていたような気がします…
殿は包み隠さず私に事情をお話になりました
御正室様に子供が出来なかった事で
側室をとるように周囲から勧められた事
これまでは御正室様に遠慮をしていて
そのような話に応じなかった事
しかし
このままでは藩の存続に関わると
家来達からも
当の御正室様からも
側室をとるように懇願された事…
『…いよいよ進退極まって
致し方なく…
そなたを巻き込んですまなかった…』
許せ、と呟いた殿は
悲しそうに笑って…
…きっと
御正室様を深く愛していらっしゃったんだと思います
…そんな言葉を聞いて傷つかないわけでもなかったんですけどね
殿がすべてを打ち明けて下さった事で
その正直さと潔さに
かえって私は殿に惹かれました
ですから私も精一杯お応えするべきだと思って
母に教えられたように
自分が妖狐であることを告白し
殿の前に本来の姿を晒して
殿の『気』をいただいて生きたいとお願いをしたのです…
変化した私の姿を見て殿はおっしゃいました
『…そなたが私に引き合わされたのは
定めだったということなのだな…？』
と…
全てを理解して下さった殿は
側室として私を大事にして下さいました
私も殿をお慕いしておりましたけど
やっぱり御正室様がいらっしゃいましたから…
…それでも殿のそばにいられれば良かった
妖狐の姿の体を優しく撫でて下さったあの手を
今も思い出します…
…その後
御正室様に男のお子様が生まれまして
…ほんの少し私の妖力を使った結果ですけど…
殿はことのほかお喜びで
普通なら私からは足が遠のくところでしょうけど
殿は私が妖力を使ったのを分かっていたようでした
『…無理をさせた』
と私を抱きしめて下さって…
それだけでも
殿のもとに参って良かったと思いました…
それから長く殿にお仕えしましたが
辛いことはひとつも無く…
側室の身としては幸せな毎日を送る事ができました
…殿の最期の時には
早くに亡くなられた御正室様に代わって
お側にいることを許されました
息を引き取られる前に
殿はこう言って下さったのです
『…そなたがそばにいてくれて幸せだった
今度は
そなただけを大事にしてくれる男に巡り逢えるよう祈っている…』
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けぃたん(プロフ) - 実紅さん！！お話読んでてすごくおもしろいです！！お時間ある時に更新お待ちしてます♪ (2018年10月14日 16時) (
レス) id: 797f869983 (このIDを非表示/違反報告)
hunihuniyasuko(プロフ) - きゃ〜〜っつ、更新ありがとうございます。待ってました！！楽しみです。 (2018年5月17日 15時) (レス) id: aabcb05c36 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - 子育てにお仕事に大変なところ更新ありがとうございます♪〜楽しみに待ってますね♪ (2014年9月4日 21時) (レス) id: 8ce55d652b (このIDを非表示/違反報告)
悠貴 綾(プロフ) - 更新、お疲れ様です。気長に待ってますんで、無理せず頑張って下さい☆ 次、楽しみに待ってます(*´艸`) (2014年9月4日 16時) (レス) id: 3014534926 (このIDを非表示/違反報告)
KT(プロフ) - お疲れ様です。 楽しみ に して 待ってます！ (2014年9月4日 16時) (レス) id: f0217eb4f7 (このIDを非表示/違反報告)
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