#１ prologue ページ1
…まあるいまあるい満月の夜
あたしは月に導かれるように
山の中の湖にやってきた
誰もいない静かな湖面
苦もなくあたしの体は
湖の真ん中まで滑っていって
水面ギリギリに浮いたまま
降り注ぐ月光を浴びる…
銀色の毛並みは月の光に輝いて
今日のあたしはどこから見てもきれいなはずで
満月の夜なのにこの体を誰にも見せられないなんて
ちょっとつまんない気もしないわけではない…
…まあ
今回の満月は
これぞという男はまだいないから
別にいいんだけどね
前の男がいなくなってしまったばかりだし
こんなあたしだって
まだ心が痛んでいるのだから
それに
きれいな毛並みを見てもらいたくたって
それができる男はそう簡単に見つかるもんじゃない
お前の次のお相手は
そう簡単には逢えないかもしれないよって
長老様も言ってたしね
しばらくは息を潜めて過ごそうかなんて
ちょっとそう思うだけ…
充分に月光を浴びると
体に力がみなぎって来るのが分かる
妖力がフル充電されたところで
やっとあのごみごみした街中に帰る気になった
あやかしであるこの体
持て余す事も多いけれど
こうして月光を浴びた後は
まだまだ長すぎるこの命
大事にしようって気にもなるから不思議よね…
…さて帰ろうか
岸辺に目を向けると
人影が立っているのが見えた
そういえば近くに山荘みたいな建物があったな
ぽつんとひとつだけ灯りのついた窓が見えたけど
こんなに遅くだったから
この湖に人間なんか来るわけないってタカをくくってた
…まあ
今のあたしの姿では
誰にも見られる事はない
見つけられるとしたら
それは次のお相手だけ
それも十年後か二十年後か
もしかしたら百年先にじゃないと出会えないかもしれない
こんな湖畔にいる人間が
そのお相手なわけなくて…
そのまま岸辺に向かおうとしたら
近づいて行くに従ってその人間の顔が見えてきた
…あら
結構いい男じゃないの
あんな人間が次の男だったらね…なんて
アツキがいなくなったばかりなのにねって
心の中でダメ出しをしつつ…
…それにしても
なんであの人間はこっちを見てるんだろう
目をまんまるに見開いて…
…あれ
もしかしたら
あたしの事見えてる!?
うそーーーーっ
…焦って妖力のバランスを崩しちゃったらしい
あたしはいきなり人間体に戻ってしまった
やばっ
あたし人間体だと泳げないのに…!!
ぼちゃんという水音と共に
あたしは湖の中に落っこちた…
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けぃたん(プロフ) - 実紅さん！！お話読んでてすごくおもしろいです！！お時間ある時に更新お待ちしてます♪ (2018年10月14日 16時) (
レス) id: 797f869983 (このIDを非表示/違反報告)
hunihuniyasuko(プロフ) - きゃ〜〜っつ、更新ありがとうございます。待ってました！！楽しみです。 (2018年5月17日 15時) (レス) id: aabcb05c36 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - 子育てにお仕事に大変なところ更新ありがとうございます♪〜楽しみに待ってますね♪ (2014年9月4日 21時) (レス) id: 8ce55d652b (このIDを非表示/違反報告)
悠貴 綾(プロフ) - 更新、お疲れ様です。気長に待ってますんで、無理せず頑張って下さい☆ 次、楽しみに待ってます(*´艸`) (2014年9月4日 16時) (レス) id: 3014534926 (このIDを非表示/違反報告)
KT(プロフ) - お疲れ様です。 楽しみ に して 待ってます！ (2014年9月4日 16時) (レス) id: f0217eb4f7 (このIDを非表示/違反報告)
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