アネモネ

普通の子 ページ3

＊

　







「夏目さん今お仕事大変やろ〜？」



「…いえ、こうして休息の時間は
　
　結構コマめにいただけてるので」





「そうなんや〜♪
　
　明日ネイルが必要な仕事があるんですか？」





「明日は番宣でバラエティの収録があります」





「ちなみに、番組とかは…」






「嵐にしやがれってご存知ですか？」





「知ってますよ〜!すごいなぁ…」





「…」


　






　


夏目Aのオーダーは


夏らしく、派手すぎず、あとはお任せやった


　








普通の話をしているつもりやけど相手は芸能人


緊張しないはずがない


　







「手、綺麗ですね〜やっぱり普段からお手入れを？」




「あ、いえ、美容に興味なくて
　いつもお店でやっていただいてます」



　


夏目Aの言葉に棘はなくなってきたように思う


　



「あ、そうなんや!
　細くて綺麗やなぁって」



「つめの形悪いなあって自分では思いますけどね」



「そんなことないですよ
　きれいになるのに十分な形です♪」



「あ、多分ここ次にこれるの
　1か月くらい空くので、しっかり目に…なんてできますか？」




「お任せくださいな☆」


　




どうやらこれからの1か月、

番宣の番組収録とドラマの撮影、

雑誌の撮影がほとんどで

役柄上、ネイルはしてても大丈夫らしい


　


　






「男性の方でこのご職業珍しいですよね？
　…って言われ慣れましたか？(笑)」




　



ネイリストは例え初対面のお客さんでも



相手の手に触れて



心に触れて





綺麗になっていただけるように



気休めになっていただけるようにするお仕事



　



　


「そうですね〜美容に男女は無関係かなって
　自分では思いますね♪」



「私なんかは本当に興味がなくて
　マネージャーも女性なんですけどよく怒られます(笑)」




　


あれ？こんな感じの人なんや


　




夏目Aと言うと


世間ではクールなイメージ




　

さっきだって怒っていたと思う




でも時間をかけると


意外と夏目さんの方から喋ってきたり


普通に笑ったりしてくれる


　




やっぱり、女優さんということで


笑うとこっちまで笑顔になった

　




近寄りがたい雰囲気あったけど

全然そないなことない



　


彼女は普通の、たしか23歳くらいの


女の子やった

　

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