せーのーでっ ページ36
＊
「うん、これでいい」
「わかった」
「一つだけお願いがあるんだけど」
「なんでも言うて？」
「…今日だけ、隣に寝てもいい？」
「…うん、わかった」
二人暮らしは1か月もなかった
「マルヤマ…？」
「ん？」
緊張するからってあたしと反対を向いて寝てる
彼もまだ起きてた
「学校の子たちが言ってたんだけどね？
マルヤマってギャグするってほんと？」
「…しいひん」
「…そうなの？」
「…テレビだけ」
「…ふふ(笑)」
勢いよくあたしの向きに寝がえりを打った
あたしもびっくりした
「どうしたの？」
「…A、笑った」
「うん、人間だもん、
面白かったら笑うよ？」
「…僕の代表的なギャグやりまーす」
眠たげな目をしたマルヤマは
少しだけニコッとしながら、
小さい声でそう言った
＊
相変わらずAは黒髪が似合う
「いくよ、知らんかったら想像して何かやって？」
ええ？と困った顔で笑いながら
僕を見つめている
なんで僕は
Aを笑わそうとしてこなかったんやろ
「せーのーでっ？」
いつもどおり右手をグーにして構えてたのに
Aと言ったら
「ぎゅっ？」
と言って
僕のにぎりこぶしを両手で包んできた
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作者名：みくや
| 作成日時：2016年6月11日 5時
