秘密

DON'T SAY ANYTHING ページ9

…


　




「…はやない？」


「今日もう終わりやって」


「ほなちょっと店居って、あと30分で行くわ」




　





「もしもし？向かいのビル前にタクシー
　止めてるから来て」


「わかった」



　



向かった先はおしゃれなBARだった


　





　


「昼と夜の顔、だいぶちゃうな」


「…化粧の濃さの話？」


「性格も」



　

　

…わかってたんだ

　





「…そこ、私も困ってんねん」



「…そうなん？」


　


「Infinitioでは薄化粧やし
　ニコニコすんの好きやねん、楽しいし


　でも夜のあのお店はタバコ吸わんと
　やってられへんし、ニコニコしたないねん」




　
「…夜の仕事辞めたらええやん
　俺はあのイタリアンのAの方がええ思うで」



　


「辞められるなら私だって辞めたいんよ
　やってもう30オーバーやもん」


　

「やめられへん理由あんの？」



　

「…言わへんよ」



　

「ふーん」

　



「…やっぱりジャニーズてモテるん」



　

「プライベートで言うたら
　普通やで？まぁ彼女はおるけど」



　
「…はぁ」

　



「なんのため息やねん」


　


「店長と私きっと両想いなんやけどね？
　なんも言うてくれへんねん

　お酒入ったら言えるんちゃうん？
　な〜んもないんやで？」


　



　

飲み干したグラスは氷同士の

ぶつかる音を響かせた



　



「…お前酒入ればよお喋るな」


　


「ほっといて」



　

「…なんで店辞められへんの」


　



「言わへん」




　


「…なんでなん」


　




「…言わへん」



　



「…店長のどこが好きなん」


　


「言わへん」



　


「それも言わんのかい(笑)」



　


「…彼女のどこが好きなん」


　




「言わへん」



　


「ずっこい」


　



「お前もやんけ(笑)」


　




　
カウンターに座る隣の男を軽く睨んだ


　
でも彼は自分のグラスを持ったまま

視線をハイボールに向けたまま




　

また、唇の端をあげて笑った


　


やっぱり、ずるい顔だ


　




「…なに笑ってるん」



　

「よお人の顔睨むなぁて」

　


「今は睨んだけど
　お店では睨んでへんよ」



　

「ニコニコしときって
　睨んだってまともなことないわ」



　
　









(もう縁切れよ？まともなことないわ)






　





　


…？



気のせいか

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