私の一番嫌いでスキな生き物5 (ページ31)

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鬼が三十一匹ページ31

｢バッ…バカなっ…
そっ…そんな事が!!｣

｢あっあれは｣

城内から見ていた定々は全てを悟る

｢…そうか｣

｢真選組と見廻組の仲立ち
全警察組織の召集

そんな事ができるのはこの世に私を置いて一人しかいない｣

｢茂々
お前の仕業か｣

｢将軍様(うえさま)ァァァ!!
何故将軍様(うえさま)がこのような所にィィィィィ!!｣

｢武器をおさめよ
くだらん争いはこれまでだ

そち達はいずれも国を護る大切な兵ぞ
その生命みだりに散らす事は許さぬ｣

そういう茂々に幕臣は戸惑いながら答える

｢し…しかし将軍様…
こっ…これは定々様のご命…｣
｢聞こえなかったか｣

｢武器を捨てよと申しておるのだ｣

そういうと幕臣達はお互いの顔を見合わせると

カラ

と武器を落として茂々にひれ伏せる

茂々は馬からおりると新八達を囲むようにいる真選組に

｢どいてくれるか｣

と告げる

真選組が道を開けると茂々は3人に近寄る

｢将軍様(うえさま)?!いっいけませぬ!!
その者らは国に仇なした逆賊!!
それ以上近づいては危険にござ…｣

幕臣がそこまで言いかけると茂々は三人に頭を下げる

｢しょっ…将軍様…!!｣

｢余がふがいないばかりに迷惑をかけた
礼を言わせてくれ
汚名を着てまで…よくぞ余の忠臣を護り抜いてくれたな

そなた達がいなければ私は…｣

後ろからそよが泣きながら近づいてくる

｢私達は大切な育ての親を見殺しにする所であった｣

｢じいやぁぁぁぁ｣

そよが舞蔵に抱きつく

｢ひ…姫様｣

｢爺すまなかったな
こんなに近くにいたのに
お前の苦しみに気づいてやれなくて

お前はその人生をかけ将軍家のために尽くしてくれた
なのに将軍(わたしたち)はお前を苦しめる事しかできなんだ｣

｢爺今からでも間に合うか
約束の刻に…｣

｢茂々…様｣

茂々は立ち上がりながら

｢そよ爺の事を頼む｣

と告げる

そよの後ろからは真選組が担架を運んできている

｢はい兄上様｣

茂々は城の前に居る幕臣達に

｢道を開けよ｣

というと幕臣達はその場から去る

｢叔父上に話がある｣