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その後のマイキー君とのデートは、全く楽しめなかった。
「Aに合いそうなお酒があるんだ」
「……そう」
どんな話を振られても何も入ってこない。
私の頭を占めるのは、春のあの悲しそうな顔だけだ。
どうしてあんな顔をしたのだろう。
「Aは酒弱いよな」
「うん」
"お前は酒弱いんだから気をつけろよ"
"だって飲み会で飲まなかったら浮くんだもん"
"ほんとお人好しっつーかなんつーか……"
そんなことを零しながらも、酔った時は毎回介抱してくれた春が浮かぶ。
「……この後はどうする? 俺の家来る?」
「あ、うん」
"この後俺ん家来いよ。いい酒買った"
"えー、酔ったら春、いじめるじゃん"
"人聞き悪ぃな。今日も抱き尽くしてやるよ"
"もう、ばか!"
意地悪だけど色気たっぷりの顔の春が浮かぶ。
「A」
「うん?」
「三途のこと考えてるだろ」
「えっ!」
マイキー君はグラスを置くとため息をついた。
私は申し訳なさで眉間に皺を寄せる。
「ごめん……」
「今は俺が彼氏なんだぞ」
「うん。わかってる」
マイキー君は私の顔を両手で優しく包み込んだ。
「ほんとに、昔からかわいすぎるんだよ、お前は」
マイキー君の言葉に少しきゅんとする。私はマイキー君の手に自分の手を重ねて微笑んだ。
「愛してる、A」
「ありがとう、マイキー君」
マイキー君は自分の顔を近づけ、キスをする。
キスは次第に深くなっていく。まるで愛情を確かめるかのように。
「ずっとお前が欲しかった」
マイキー君は私を抱きしめながら言う。
"俺のもんだ"
とでも言うように、強く抱きしめられる。
そこには、甘えるような、マイキー君の子どもらしい部分があった。
裏社会のトップになっても、マイキー君は根本的には変わっていないんだ。
「今まで気づかなくてごめんね」
マイキー君の瞳に闇がある原因が、少しでも私にあるのだとしたらそれは申し訳ないと思う。
「ごめんね……」
そして__
今でも春のことが好きで、ごめんね。
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りゆ - 最高… (2022年2月7日 14時) (レス) @page32 id: 84a89ccece (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - 華さん» たくさんコメントくれてありがとうございます!!支えられていました…😌頑張ります! (2022年1月30日 11時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - チョコプリンさん» チョコプリンさんありがとうございます😭これからも頑張ります!! (2022年1月30日 11時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
華 - 祝!完結!これからも応援してます!頑張ってください! (2022年1月30日 9時) (レス) @page32 id: a19f9ab121 (このIDを非表示/違反報告)
チョコプリン(プロフ) - 完結おめでとうございます☺️私は最終話の幸せそうな2人を見れて笑顔になりました🥰🥰🥰これからも応援させていただきます📣 (2022年1月30日 8時) (レス) @page32 id: e53e09d499 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みくる | 作成日時:2021年12月8日 20時