11 ページ13
・
その人が私の前に現れたのは、春と別れてひと月が経った頃だった。
「A？」
「マイキー君!?」
家までの道を歩いていると、交差点に差し掛かったところで、バブに乗ったマイキー君と鉢合わせた。
マイキー君はバイクを降りるとエンジンを切り、バブを引っ張りながら歩道まで歩いてきた。
「お久しぶりです。バーの時以来ですね？」
「そうだな」
マイキー君はバブの後ろを指し、「乗れよ」と言った。懐かしい気持ちになった私は素直に誘いに乗った。
何度か乗せてもらったから、もう怖くて必要以上にマイキー君の背中にしがみつくこともない。
顔に風を感じながら高校の頃を思い出す。
何よりも先に思い出すのは、やっぱり誕生日の落とし穴事件だ。
私は首元のネックレスをぎゅっと握った。
「そこ入ろう」
マイキー君はファミレスにバイクを止めると、扉を押し開けた。
「相変わらずお子様用のオムライスなんですね」
あの時と変わらないマイキー君のかわいらしさに、頬が綻ぶ。
「まぁ、旗はもういらないけどね」
「少し成長しましたね」
「少しじゃない、大きくな」
「確かにそうかもしれませんね」
それがいい方向への成長なのか、私には判断できないが、あの時と変わったところがあるのは確かだ。
3人でバーで飲んだ時よりもさらに瞳の中の闇が深い。
「お元気ですか、マイキー君」
「まぁな。Aは？ 最近どうしてんの？」
「私は……」
マイキー君の質問に思わず俯いて黙る。言えない。仲が良かった3人の関係が終わったなんて言えない。
マイキー君はスプーンを止めた。
「三途か。三途と別れた。そうだろ」
「分かるんですか……」
マイキー君はスプーンを持ったまま黒い瞳で私のことを見つめる。
「俺の言ったこと覚えてるか。三途と付き合ってるうちは何もしないって」
「え、あれは冗談じゃ……」
「冗談じゃねーよ」
目を見開く私に、マイキー君はスプーンを持っていない方の手を私の前に差しのべた。
「俺のとこに来いよ、A」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 796人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りゆ - 最高… (2022年2月7日 14時) (
レス) @page32 id: 84a89ccece (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - 華さん» たくさんコメントくれてありがとうございます！！支えられていました…😌頑張ります！ (2022年1月30日 11時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - チョコプリンさん» チョコプリンさんありがとうございます😭これからも頑張ります！！ (2022年1月30日 11時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
華 - 祝！完結！これからも応援してます！頑張ってください！ (2022年1月30日 9時) (レス) @page32 id: a19f9ab121 (このIDを非表示/違反報告)
チョコプリン(プロフ) - 完結おめでとうございます☺️私は最終話の幸せそうな2人を見れて笑顔になりました🥰🥰🥰これからも応援させていただきます📣 (2022年1月30日 8時) (レス) @page32 id: e53e09d499 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みくる
| 作成日時：2021年12月8日 20時
