別れたくないよ【三途春千夜】

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三途side



俺は1か月間、頭が狂いそうになるほどに考え抜いた。

Aを手放すなんて考えられない。考えたくもない。

あいつと離れる日が来るなんて今まで微塵も考えたことがなかった。

しかしそれを初めて考えなければならないくらいには、首領がAを殺してしまう可能性が高かった。

Aのことが好きだ。大好きだ。愛している。

だからこそ絶対に、何がなんでも、死ぬことだけはあってほしくない。あってはいけない。

俺が身を引くことであいつが助かるなら、それが一番いいんだ。



「なぁA、俺たち別れよう」



Aは想像通り拒んで泣いた。

俺も声を上げて泣きたいほどに辛かった。



「嘘だよね？」



嘘だよ。



「タクシー呼ぶから、来たらそれに乗って帰れ」



ダメだ、帰るな。


本当のことを言えないもどかしさ。

このままではAとの関係が終わってしまう恐怖。


それでも俺は、自分にムチを打ってAに嫌われるようなことを言った。



「好きなやつができた」



お前以外に好きなやつなんかできねぇよ。

全部嘘だよ。

お前と離れたくない。

ずっと一緒にいたい。

世界で一番愛してる。



「A。…………元気でな」



離れても、お前だけが一生好きだ。

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