検索窓
今日:8 hit、昨日:43 hit、合計:196,900 hit

26 ページ28





「家来るか?」

「行きます」



蘭さんは私の手を握り、車までエスコートしてくれた。

車を発車させると、蘭さんはバックミラーで私を見ながら「一体何があったんだ」と言った。



「散歩をしていたら突然目と口を覆われてこのザマです」

「俺のせいだよな」

「私が弱いせいです」



蘭さんに責任を感じてほしくなかった私はそう言った。蘭さんは申し訳なさそうな顔をした。



「俺の女にした以上、一生あんな思いはさせねぇ」

「ありがとうございます」

「惚れちまったんだから仕方ねぇよ」



私は「なんですかそれ」と笑った。
蘭さんの前でこんなにも自然と笑える日が来るとは思わなかった。

ほんと、好きになってしまったのだから仕方ない。

出会いはこの世で最も最悪なのではというほど酷かったし、犬になった時は人生終わったと思った。

最初の頃は恐怖の毎日だったのに。

それがいつから好きになってしまったというのだろう。



「俺が言うのもあれだけどよ、自分を犬にしてきた奴に惚れるとか、お前頭イカれてるぜ」

「自分でもそう思っていますよ。でも……」

「でも?」

「極悪非道のくせに優しいところがあったり、色気が溢れたりしてる蘭さんが悪いんですよ」

「褒めてんのか貶してんのかわかんねぇよ」



私はあはは! と笑うと、ふっと微笑んだ。



「褒めていますよ」

「帰ったらご褒美な」

「お仕置きじゃないんですか?」

「俺のこと好きならご褒美だろ」

「自意識過剰ですね」

「お前は犬の時の方がかわいかったな」



「ひどいですよ!」と不貞腐れて言うと、蘭さんは笑った。



「冗談。好きだぜ、A」

「いきなりなんですか! …………私も好きですよ」



最悪の連続は、この幸せのためにあったんだなと思う。

頬をほころばせながら、窓の外に流れる夜景を見つめる。

そうしているうちに、疲れが押し寄せ眠くなってきた。

けどもう眠気を必死に振り払う必要もない。

私は、蘭さんの心地よい運転に身を任せて、幸せな眠りに落ちていった。

最終話→←25



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1382人がお気に入り
設定タグ:灰谷蘭 , 東京リベンジャーズ , 東リべ   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まお - 完結おめでとうございます!キュンキュンしながら読ませていただきました。蘭ちゃんの色気がものすんごいのは間違いない(確信) (2022年1月23日 7時) (レス) @page31 id: 4ee49a658f (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - 華さん» ありがとうございます!!良作を作れるよう頑張ります! (2022年1月17日 14時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
- 完結、おめでとうございます! これからも変わらず応援してます! (2022年1月16日 23時) (レス) @page31 id: a19f9ab121 (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - ゆさん» 最後まで読んでくださりありがとうございます!素敵と言っていただけて嬉しいです!☺️ (2022年1月16日 20時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - ATR214YSさん» 最後まで読んでくださりありがとうございます!楽しんでいただけて光栄です😌 (2022年1月16日 20時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みくる | 作成日時:2021年12月2日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。