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「え、え、え、え……あ、やばいやばいやばい」
私、やばい場面に遭遇した時って、こんな反応になるんだ。
人間って普通は危険にさらされた時とか、恐怖を感じた時って悲鳴を上げると思う。
けど私は違ったらしい。
殺人現場を目撃してしまったというのに、頭は嫌に冷静だ。
私、このままここにいたら確実にやばいよな。なんて冷静に考えてはいるが、体はしっかり恐怖を感じているようで動けない。
「なに、誰かいんの?」
殺人を終えたそいつは、鉄パイプを肩に乗せてこちらに歩いてくる。
これは死んだ。いや、でも死ぬ前に最大限努力はするべきだ。そうだそうだ。父にいつも言われてきた。
過程が大事。
「お前……見た?」
「警察を呼びます」
「見たかって聞いてんの」
武器のように「110」と入力したスマホを突き出しながら言う私に、男は構わずさらに1歩踏み出した。
「警察呼びますよ!!」
「やってみろよ」
「!?」
「できないから」
男はいつの間にか私の背後に回り、私の首を叩いた。
グラッと視界が揺れる。
「どうした? 呼ぶんだろ? 警察」
今度は前に回り私の腹を蹴りあげる。
思わず咳き込む。痛い。こんな痛みは経験したことがない。
"女に手を出す男にろくな奴はいない"。父の言葉が蘇る。
そうだねお父さん。こいつは間違いなくろくでもない。
そもそも人殺してたし。
なんて不運なんだろう。
私、こんなところで死ぬのか。
バカみたいな人生。過程が大事って……その結果死ぬんじゃ元も子もない。
「過程が大事なんて嘘じゃん……お父さん」
「あ? 何ほざいてんだ」
「早く殺せばいいんじゃないですか? 見ての通り私、ただの女なので抵抗なんてできませんよ」
「へぇ。肝据わってんじゃん」
据わってねぇよ。悟り開いたんだよ、ろくでなし男。
なんて言ったら短い寿命がさらに縮むだけなのでただ睨んだ。
「ちょっとこっち見なよ」
見てるよ。正確には睨んでいるんだけど。
男は私の顎をグイッと持ち上げ、ジッと覗き込んできた。
「お前、タイプ」
「は?」
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まお - 完結おめでとうございます!キュンキュンしながら読ませていただきました。蘭ちゃんの色気がものすんごいのは間違いない(確信) (2022年1月23日 7時) (レス) @page31 id: 4ee49a658f (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - 華さん» ありがとうございます!!良作を作れるよう頑張ります! (2022年1月17日 14時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
華 - 完結、おめでとうございます! これからも変わらず応援してます! (2022年1月16日 23時) (レス) @page31 id: a19f9ab121 (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - ゆさん» 最後まで読んでくださりありがとうございます!素敵と言っていただけて嬉しいです!☺️ (2022年1月16日 20時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - ATR214YSさん» 最後まで読んでくださりありがとうございます!楽しんでいただけて光栄です😌 (2022年1月16日 20時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みくる | 作成日時:2021年12月2日 19時