1 ページ1
・
「ねぇ、お茶しない？」
出会いは突然だった……なんてありふれた言葉だけど、私たちの出会いはその言葉が一番しっくりくる。
彼がいきなり話しかけてきたのは、1人で街を歩いている時だった。
気に入った服を買えて、充実したショッピングの帰りじゃなければ、私はきっと彼を無視していただろう。
「すみません、急いでいるので」
機嫌が良かったから、断りの言葉くらいは言っておこうと頭を下げた。しかし、私がそれまでのんびり歩いていたことを彼はしっかり見ていたようで
「急いでないよね？」
と言われてしまった。そこで改めてその男性のことをしっかり見ると、整った顔立ちに、黒と紫のクラゲのような髪型をしていた。
垂れ目は可愛いようにも見えるし、気だるそうにも見える。
「えっと……」
「ちょっとだけでいいからさ！ ね？」
「……分かりました」
まぁ、顔はイケメンだし、少しくらいならいいか。
そう思ってしまったのが、正解だったのか間違いだったのかは分からないけれど、物語の始まりであった。
＿＿＿＿＿＿
「お姉さん、名前は？」
「七瀬Aです」
「名前も可愛いね。俺は灰谷竜胆。竜胆さんでいいよ」
「はぁ……」
名前を呼ぶほど仲良くなるつもりもないんだど。しかし、あえてそんなことを口に出すほどの勇気もないので曖昧な返事で濁す。
「Aちゃん、何歳？」
「24です」
「俺は25だから1個違いだね。近いね」
「そうですね」
「Aちゃんって奥手な感じで可愛いね」
奥手というより、初対面でぐいぐいくる竜胆さんに若干引いているだけなのだが。
この人には私がおしとやかな女性にでも見えているのだろうか。
「Aちゃん、この辺に住んでるの？」
「うーん、ここから電車2駅ですね」
それから私たちは20分ほど雑談をした。私は主に相槌を打つくらいで、竜胆さんが1人で喋っていた。
「いやぁ、今更だけど急に話しかけちゃってごめんね？ 驚いたよね」
「そうですね、驚きました」
「楽しい時間をありがとう。駅まで送るね」
竜胆さんはにこやかに席を立つと、私をエスコートしてくれた。チェーンのカフェでこんなことされてもなんだか恥ずかしい。
まぁ、もう会うこともないだろうし、なんでもいいや。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1021人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小春（ハル） - 完結おめでとうございますぅぅぅぅ(´;ω;｀)私まだ途中までしか読めてないので読んできます（） (2022年4月11日 19時) (
レス) @page16 id: fd34f5ea37 (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - きなこだいふくさん» 最後まで読んでくださりありがとうございました！！神作だなんて光栄の極みです😭😭 (2022年3月22日 0時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
きなこだいふく(プロフ) - 完結おめでとうございます！ずっと大好きで更新追っていた作品なのでとても嬉しいです！更新お疲れ様です。神作をありがとうございます！ (2022年3月21日 15時) (レス) @page26 id: 90c5be706c (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - ATR214YSさん» ありがとうございます、嬉しいです！！！ (2022年3月19日 17時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！この作品の竜胆めちゃくちゃ可愛くてかっこよくて大好きです。更新お疲れ様でした。素敵な作品ありがとうございました！ (2022年3月19日 17時) (レス) @page26 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みくる
| 作成日時：2021年12月21日 17時
