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○△□ ページ15

「は?」

端正な顔立ちが、歪められるでもなく間抜けに。口と目を開けて固まった。彼だけではない。隣の男も、可愛らしい二人組も、みんなぽかん。

自分の発言を顧みるよりも早くその反応を見てしまったせいで、私は自身の言葉の何がおかしいのか全く分からなかった。

四人揃って変な顔をして立っていると、一足先に正気に帰った太宰がイメージにそぐわない狼狽えぶりで口を開く。

「い、いやぁ、流石中也が連れている女の子だねぇ。感性がとても独特だ。私とこのチビだなんて普通なら百人中百人が私を選ぶと思うのだけど」

その最後に少し持ち直した末に向けられた刺々しさに
私はようやく自分が何を言ったのかを理解した。

『...え、あっ?! ......いやその、えっと、私もそう思います。というか思ってました、前までは! でもなんか、実際見てみたら中也さんの方が格好良いというか、あの...』

誤魔化せなかった、というよりも誤魔化す気がなかった? いや否定できなかったという方が正しいだろう。私の口もこの時ばかりは真実しか言えなかったのだ。

自分でも信じ難かった。いくら中原中也という人物を愛していても、それは総じて彼が一番好きだという話であって、顔の造形の整いようでいえば太宰に軍配が上がるなど誰が見ても明らかだ。もちろん私もそう思っていた。

それなのに。

「? 不思議な子だね、前まではなんて。私と何処かで会ったことがあったかな。感性が独特といえどこれだけ美しいお嬢さんなら覚えているはずだ」

『え、あ、いや』

自身で撒いた種にも関わらず、無意識だった故に処理し切れずに、困り果てて泣きそうになりながら視線で隣の彼に助けを求める。彼も呆れた顔で応じてくれた。

「此奴は双黒時代の俺たちのファンなんだよ。だが俺達はポートマフィアの実働部隊だったろ? 写真でしか見たことがなかったらしく感動してんだよ。な?」

『あっはい。ファンクラブにも入ってました』

「え、なあに。私たちそんなアイドル的存在だったの?」

同意を求める言葉に思わず勢いだけで答えてしまったけれど、どう考えてもおかしな話だった。

はい? このおチビな帽子の人お馬鹿なの?
いくらなんでも嘘下手過ぎないかな。


『でもそんな所も可愛いかも』

「あ? なんか言ったか」

『いいえ全く!』

ぽろりと零れた言葉に今更遅いというのに口を両手で抑えて首を左右にぶんぶんと振る。いやいや、本当に、私さっきから一体どうしたの。

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苗代(プロフ) - 斜陽族さん» コメントありがとうございます。最後の最後に一気に更新したので、急ぎすぎてしまった感じは否めませんが、そういって頂けて本当にありがたいです。環境がら多忙なことに変わりはありませんが、これからも作品を書き続けていくつもりなのでどうぞよろしくお願いします。 (2019年1月3日 11時) (レス) id: 4044429dac (このIDを非表示/違反報告)
斜陽族 - 読み終わってとっても感動しました!こういう深いお話好きです。発想力があって尊敬してしまいます。これからも無理のない程度に頑張って頂けると嬉しいです! (2019年1月3日 10時) (レス) id: 4feb0da943 (このIDを非表示/違反報告)
苗代(プロフ) - マッキーさん» コメントありがとうございます。現在とても忙しい状況で、当作品も含め連載中の作品全て手がつけられていないのですが、そろそろ更新を再開していくつもりなのでどうぞよろしくお願いします。 (2018年12月26日 11時) (レス) id: 4044429dac (このIDを非表示/違反報告)
マッキー(プロフ) - 更新頑張ってください! (2018年12月25日 22時) (レス) id: 0346650c4f (このIDを非表示/違反報告)
苗代(プロフ) - リツさん» ご丁寧なコメントありがとうございます。主人公の設定は私を自己投影して作成している面が大きいので、読者の方にそう言って頂けてとても嬉しいです。ぜひ最後までお付き合い下さい。 (2018年11月21日 17時) (レス) id: 4044429dac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:苗代 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年10月29日 15時

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