第十話 ページ10
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地獄・タルタロスに存在するコンシオホロギア城の王の間、その玉座には眉間に皺を寄せて座る王の姿があった。
そこへ、一人の堕天使がやってきて、玉座の前に膝まづいた。
「王様」
堕天使は黒光りする光輪に黒い羽、メッシュの入った美しいプラチナブロンドをしている。名を、ユダと言う。
「何事だ」
「ウーファス様がまたおひとりで地上へ出向いたそうです」
「ウーファス……」
王は怒りに震え、肘置台を掴む手に力がこもった。
ユダは怒りに震える王を見て小さく悲鳴を上げた。
「……まあ良い。下がれ」
「はっ」
王の間を出ていくユダの後ろ姿を見つめながら、王はため息を吐いた。
手を少し上げ、傍にいた仕えの者を呼ぶ。
「ウーファスを呼べ」
「はっ」
正面を向きながら仕えの者に一言託すと、仕えの者は部屋を出て行った。
ウーファスは煉獄・ハデスを束ねる堕天使で、私とほぼ同じくらいの強大な力を持っている。
先程、手紙を送った後、ウーファスは天界に赴いたそうだ。
私に許可を取らず、勝手に。
いつものことながら、あいつには油断も隙もない。
「クソッ……」
少しして、王の間に先程の堕天使・ユダがやってきた。
「ウーファス様をお連れいたしました」
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作者名:赤間 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年5月18日 17時