トレーナーの日常。#1

ばいばい…。 ページ18

.






『んーーーっ、ん…？なんや、起きてたん？』

「ん、…」





今日は月曜日。


月曜日と言えば野球選手の休日なんやけど、今日は休日返上で練習の日。



目を覚ますと、すでに目をぱっちりとして俺を見てたももたろう。
声をかけても返答が微妙やし、具合悪いんかと思って抱きしめた。







『具合悪いんかー？』

「やだっ…」

『やだってなんやねん(笑)』

「起きなきゃ」

『ええよ、朝コンビニ寄ってくから』

「いいよ。簡単に作るから」









コンビニでええって言うときながら、ほんまはももたろうが作ったやつがよかったんやけどな。




『いただきますっ』

「あの、さかもと…」

『ん？なに？』

「いや、なんでもない…」






絶対おかしい


これはなんかあるって、わかりやすいやつ(笑)









ももたろうと同棲してからほぼ毎日作ってもらえる美味しいごはんを食べ終えて、荷物を持って玄関に向かうと、重い足取りで俺のあとをついてきたA。








『よしっ、じゃあ行ってくる』

「さかもと、今日は練習終わったらまっすぐ帰ってくるの？」

『うん、そのつもり。じゃあ、』

「あ、忘れ物ない？」

『とりあえず携帯と財布持ったから大丈夫や。じゃあな』

「あのっ、」

『もうなに？www 忘れ物も心配せんでもないわ！笑』

「っ、…」









そういうことではなかったらしい。


なに気に会話を伸ばしたがるももたろうがこれまた面白くて聞いてしまってたけど、ただそうしてたにしてはももたろうらしくなさすぎる。







『なにしたん？なんかあったんか？』








困った顔して下向いて、顔を上げようとしないAの手を握ると
力なく俺の手を握り返した。









「だって…」

『だって？』

「ばいばいって言ったらはやとくん、…行っちゃうじゃん…」









なんやねん… もう行きたなくなったわ…




今俺の目の前にいるAは
トレーナーでも球団職員でもない、自然のままの俺の彼女。


今にも泣きそうな顔するAをぎゅうっと抱きしめて、








『練習終わったら、飛んで帰ってくるから』

「待ってるね」

『うん、じゃあな』

名前。→←夢中。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す