461 ページ11
.
はぁっ…つわりがひどい…
はやとにお弁当作ろうと思って、炊飯器開けただけで気持ち悪くなっちゃうし。
はやとは優しいから“お昼はケータリングあるし、無理してつくらんでええからな”って言うし…
嫌われちゃったらどうしよう…
今の私ははやとに何にもしてあげられないし、それどころかしてもらってばっかり。
すぐ泣いちゃうようになった私に、はやとは何度困った顔で笑いかけたことか…
「はやと、…」
『んー？なに？なんかしてほしいことあるっ？』
「んーん…」
ソファーに座って私の手を握るはやと。
はやとと抱きしめ合ったりしたのはいつのことだろう…
あっ、また泣いちゃう…
『どしたどした』
「あ、のっ…」
『うんっ』
「うわき、してもいいよっ…」
『、はっ？』
「してきてもいいよっ… 最後は私のところに帰ってきてくれれば、
私はそれでいいのっ…」
はやとを信じてないとか、そういうことじゃない。
けど、何もしてあげられない自分が嫌で仕方ないんだ。
そう言った私を見て、なぜか悲しそうな表情を浮かべるはやとは私を抱きしめた。
『そんなこと言わんで…？ 俺バカやけど、こんなときに別の女に手出したりせえへん。
Aの近くにいたいねん。
自分の子どもがおなかん中で毎日ちょっとずつ大きなってて、そのたんびに俺も親になんねんなって思えてきて… 俺こそ、なんもできひん。こんなにAが苦しんでても、かわってやることも俺にはできひんやん…
少しくらいはAのそばにいて楽にさせてやりたいねん。
全然苦やないで？Aがそばにいるだけでええんやから、
なんにもしてあげれてへんなんて思わんで？ なっ？』
こんなにも私と赤ちゃんを思ってくれてるなんて、初めて知った。
ソファの上に座ったら動くことなく私にあれ取ってこれ取ってって言ってたはやとが、
掃除に洗濯もしてくれるようになった。
久しぶりに感じたはやとの温度が心地よくて、おなかを気にしながらもぎゅうっと抱きついた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 531人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
実玖(プロフ) - ホットケーキりんごちゃんさん» ありがとうございます！お話よろしくです＾＾ (2017年1月3日 15時) (
レス) id: 8bab5adde2 (このIDを非表示/違反報告)
ホットケーキりんごちゃん - 実玖さんの作品、大好きです！トレーナーは女の子、愛読してます！頑張ってください (2017年1月3日 14時) (レス) id: 217cd65afe (このIDを非表示/違反報告)
実玖(プロフ) - 暁さん» ありがとうございます！そんなに読んでいただけて嬉しいです！^^ (2016年11月2日 20時) (レス) id: 27cb381ae6 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - 完結おめでとうございます＆お疲れ様でした！楽しみながら読ませていただきました。また最初から全部読みます（笑） (2016年11月2日 20時) (レス) id: 3f11264002 (このIDを非表示/違反報告)
青りんごジャスミン(プロフ) - 分かりました！ (2016年10月29日 19時) (レス) id: ba7e44ff7e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：実玖
| 作者ホームページ：http://mikupepe//pa-na
作成日時：2016年9月5日 21時
