トレーナーは女の子。#2

◇88 雨。 ページ38

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「雨やだなぁ」

長「もも姫、具合悪いでしょ」

「えっ？そんなことないよ？」

長「そんなのうそだよ、顔色すっごい悪いもん。」

「…雨とか暗い天気だと、ちょっとだるくなっちゃうんだよね」

坂「なんやおまえ！顔色めっちゃ悪いやん！」

長「ね、」

「大丈夫だから」









トレーナールームに戻って、今月の日程をチェック。

あーー、やっぱり具合悪い…









根「A、どうした」

「具合がちょっと…」

根「帰りなー？こっちはいいからさっ、送ってあげるよ」

「でもっ…」

根「いいからいいからーっ」









はぁっ… 悪いことしちゃったな…

根津さんが車を出してくれて、家まで送ってくれた。









「ただーいまー…」









シーンとしてる部屋の中。


部屋着に着替えてソファーに座ると、一気に眠気が襲ってきて
時計を見ればもう23時。 ピーンポーンというチャイムの音で目が覚めた。









「はーいっ…」









だるい身体を引きずって玄関のドアを開けると、雨で濡れたさかもとがいた。









「どうしたの！？びちょびちょじゃん！早く入りなよ！」

坂「ん、…駐車場から走ってきたんやけど濡れた」









さかもとにバスタオルを渡して、リビングに通した。
これ、って持ってたものを私に渡してきたのを見ると、中身は飲み物とかゼリーとか。









坂「具合悪いんやろ？作んのも面倒かと思って買ってきたから食えっ」

「ありがとう… さかもとが風邪引いちゃうよ…」

坂「大丈夫やってー、今日試合なかったからなんとかって感じ。
おまえこそ大丈夫なん？なんかしてほしいことあるんやったら俺やるで？」

「いいよ」

坂「可愛くない奴やなぁーっ… ふつう具合悪いとき女の子って甘えたくなるんやないんー？」









…可愛くないかっ…


私だって、ほんとは甘えたくなるときだってある。









「となりっ…」

坂「ん？」









私が甘えたら、甘えられた人は困ってしまうかもしれない。



でも、…









「となりにいてっ…？」



坂「そんなんいつでもいたるわっ…」









私の隣に腰掛けたさかもとは、何かを私に言うわけでもなく、ただ手を握ってくれた。


こんなにドキドキしてるのに





もうすぐそこまで


“好き”


って気持ちが溢れてるのに、









どうして言葉にするのって、こんなにも難しいんだろう。

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