Play Ball. ８

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『Aはどっか行きたいとことかないん？』


「えっ？」


『Aが行きたいとこなら、どこでも連れてったるで』









Aは、「あそこきれい！」とか言っても
「連れてって」とは言わない。



遠慮してるいうか、それがわがままやと思ってて。

そんなん全然ええのに…
なんなら俺は、Aといろんなとこ行きたいねん









『どこでもええよ？ 今日はもう７時やし、そこまで遠くは行けへんけど』







デーゲームだった今日は、ドームを出てきたのが早かった。

どこがいいだろう… と悩み始める小っちゃくて可愛い俺のとなりに座る女の子を、
プロ野球選手と思う人はおらへんと思う



こんな可愛いプロ野球選手どこにもおらへんもん。





そんなことを考えながら、車を走らせる俺を見て
思いついたと言わんばかりに、笑顔を作った。









「海、行きたい」


『海？』


「夜の海、きれいでしょっ？」


『ん、じゃあ海な』









右方向にウインカーをたてて、ゆっくりと道を曲がる。

すれ違う車も少なくて
海に来てる人いないんやな、と感じた








『おっしゃ、ついたで？』


「海だ海だーーっ」









ほんまにがきんちょや。
はやとも、って俺の腕を引っ張って、ふたりで砂浜に足跡をつけた。

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