Play Ball. ８

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３塁ベース上から眺めるちょうさんの顔は、いつもふざけてる時とは比べ物にならないほどの真剣な顔をしていて、みんな優勝目指して頑張ってるんだなっていうのが手に取るようにわかる。









きっちりとした犠牲フライが上がって
タッチアップでホームベースにヘッドスライディングをし、追加点を入れれば
ベンチにいるみんなは私に笑顔を向けてくれた
退院して１週間、１軍に上がって最初の試合の今日。









マジックがすでに点灯しているジャイアンツは、ぶっちぎりの１位。





あと３試合でリーグ優勝。
ここまで私がいない間、みんな頑張ってくれたんだもん。
迷惑かけちゃった分、私も頑張んなきゃ。









『A、あともうちょいで優勝やでーっ』


「おーーっ！」


長「頑張ろうな」


「うんっ！」









試合が終われば、オフモード。
みんなにばいばいして、はやとの手を握って車まで歩く。









『どっか食べて帰るか』


「えっ、」


『ん？買っていく？』


「いや、そうじゃなくて。 私、作るよ？」


『まじで！？』


「、いや？…」


『あほ』









嬉しいに決まってるやん、と 愛らしい笑顔で言うはやとにつられて私も笑顔になった。







小さなスーパーでちょちょっと食材を買って車に乗ると、あっという間にはやとのおうち。



使ってないからピッカピカのままのキッチンに立って野菜を刻んでいる私を、後ろから甘えるようにしてぎゅうっと抱きしめたはやと。









「どうしたの？」


『や… おまえなんでも出来んねんな』


「んー… そうかなぁ？」









なんでもではないでしょー、それは言いすぎっ









『Aがおらんくて、寂しかってんで…？』









コンコンコンッと包丁がまな板に当たる音がやんだ時、
ゆっくりと重なった唇からは
溢れんばかりの好きが募ってた。

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