Play Ball. ６

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『A…？』





Aの前に腰を下ろして
震える肩に手をおいても、声をかけても Aは全然ビクともしない


でも、重たい空気の中で口を開いたのはAだった。








「わたしがわがまま言うから…？」


『…えっ？』


「わたしが子どもすぎるから、木山さんと…」


『なに言ってん、』


「坂本さんに好きって言われたって、木山さんに言われたっ…」


『はっ、そんなわけっ、…




A…』



ぐっとこらえながら子どもみたいに泣きじゃくるA。
ここまで泣いてるA見たのは初めてで、どうすればいいんかわからんかった。




抱きしめようとした手は先にAに取られてしまって。






「ぎゅってしてとか、ちゅうしてなんてもう絶対わがまま言わないからっ…



はやとに嫌われないようにするからっ、…

行かないでっ…？ 離れちゃいやぁっ、！…」




俺の胸に顔を押し付けて、抑えきれなかった声をもらしながら泣くAを俺も抱きしめた。



全部あの女のうそや
俺がAのこと捨ててあんな女のとこ行くわけないやろ






『長さん、ちょっとAお願いします』






俺はロッカールームを出てまっすぐあの女のところに行った。


あっ、坂本さんって 勝手にバットを持ってアホみたいに笑顔で俺のところまで来て
今日の帰りは送ってくださいなんて言うこいつの声を聞いたとたん、
俺の中で何かがぷちっとキレた。







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