Play Ball. ６

282 ページ32

.




木山さんが入社してから２週間くらい経ったころ。





木「Aさんっ、ちょっといいですか？」

「えっ？ はいっ」




呼ばれて女子トイレに行くと、ぎこちない笑顔を浮かべて





木「わたし、坂本さんのこと好きなんです」

「… はぁっ…」

木「取っちゃってもいいですか？」




取っちゃってもって、はやとが木山さんと付き合うってことだよね…？


そんなのやだっ…




「わたしのほうがはやとのこと好きだもんっ！」





そのままトイレを飛び出してロッカールームに戻ると、やすさんに声をかけられた




片「Aどこ行ってたの？ 勇人さがしてたよ？」

「あっ、うんっ…」

『あ！ A帰るでー？』

「うん…」





お疲れさまでしたって言ってはやとの車に乗った。



『どうしたんA』

「ん？」

『あの女になんか言われたか？』





なんて言ったらいいかわかんなくて頷くと、
言ってみ？ってぽんぽんっと頭をなでてくれるはやと。




「坂本さん、取ってもいいですかって…
はやとのこと好きなんだって…」

『そんでAはなんか言ったん？』

「うんっ…
わたしのほうが好きって言って走って出てきちゃった…」





すると、ふふふふって笑ってわたしの手をぎゅっと握ったはやと。




「どうしたの？」

『好きなん？ 俺のこと』

「好きだよ」

『ははっ、俺も好き』





木山さんは何がしたいんだろう…


はやとのことを自分だけのものにしたいのかなぁ？




これから嫌がらせが毎日続くなんて思わなかったよ。






.

283→←281

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す