最終病棟【d!】

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貴方side



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『いやぁ〜！ありがとうございます！車出してもらって！』


「いや良いですよ。こんな頼み事されたの初めてでは無いので。あとタバコ辞めて下さい。」


『窓開けてるんだから大丈夫大丈夫！！』


荷物がたくさん入ったエコバッグを両脇に置きながら一服する。
ドライバーさんは顔をしかめながらもため息をついて諦めたようだった。


「、、にしてもたくさん買い込みましたね。」


『まぁ、、私が食べたかったのもありますが、一応医者ですし？患者の健康状態を管理するのも仕事なので。』


「ご立派ですね。」


ドライバーさんにそう言われて少し照れる。
ネギやら大根やら国に申請したけど、届くまで時間がかかる。
その間に、えんな得体の知れない栄養食を食べさせるのも、食べるのも嫌だった。


『今日はブリ大根かな〜？』


「良いですね。出来ればお裾分けとか、、？」


『余ったら良いっすよ？患者さんが全部食べそうですけど、、ww大食いな人が居るっぽいのでねww』


なんて他愛の無い会話をしていると、ドライバーさんがぽつりと呟いた。


「あそこの病棟には、、知人が居るんです。」


『、、そうなんですか？』


静かな雰囲気が車内に漂う。


「はい。とてもお優しい方で、あの人のお父様にはしてもしきれないくらいの恩があるんです。」


『はぇー、、。』


「あの人は、、とても美味しそうにご飯を食べるんです。頬にたくさん詰め込んで美味しそうに頬張る。」


『、、なんだかずっと間近で見てきたみたいな口振りですね？』


「見てきましたから。子供の頃からずっと、、。」


そう話すドライバーさんの声は少し震えているように聞こえた。


続く

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