4食目。 ページ5
黒いローブ、黒い髪、そして右手だけにはめた黒い手袋。
黒づくめの魔導師は、ムズーリの前に跪いた。
「『AB-CIR』と申します。」
(へぇ、今は『AB-CIR』と名乗っているんだ)
セレナは師の名前について色々と考えていて、ほとんど話を聞いていなかった。
だが、だいたいの内容はわかった。
まず、この病気は『グーラ病』というらしい。
そして、このグーラ病は大罪の器のひとつによるワイングラスの呪いによるもの。
また、一日に一人ずつ死んでいく。
この呪いを解くためには…食べ続けて10年が過ぎることだった。
それを実践してからは誰も死ななくなった。
だが、食料が尽きれば民から奪うしかなかった。
どんどん民への税が重くなる。
しかし、ムズーリ達には食べることをやめることは出来なかった。
そして、6年が過ぎた。
ある日の食事中、バニカがこんなことを言った。
「私、今日はもうこれ以上いらない。」
カモシカのように細くスレンダーだったメグルの体はもう、醜く肥えていた。
それに反比例するように、メイドのセレナは細い、というよりも、ほぼ肉がついていなかった。
1gでも多く食べられるように、と他の人に分け与えていて、自分は生きるのに必要なぐらいの食事しか摂らなかった結果である。
「……食べなさい。残してはいけません。」
「嫌よ。私、キャロットはあまり好きじゃないの。」
バニカは首を降ったが、メグルは激昂し、料理を口に押し込んだ。
「食べなさい！」
やだやだ、と泣き出すバニカを見て、セレナはあわててそれを止めた。
「メグル様！」
それでもメグルはバニカに料理を押し込む。
変わり過ぎてしまった主人に、セレナは哀しんだ。
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いんく(プロフ) - 桜猫さん» 返信遅れてしまい申し訳ありません。一ヶ月一冊ペースで進めていくつもりですので、こちらもよろしくお願いします。 (2016年8月5日 19時) (
レス) id: 8afac89c30 (このIDを非表示/違反報告)
桜猫 - こちらも読ませていただきます( ^ω^ ) (2016年8月3日 11時) (レス) id: 3524d9e2e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いんく | 作成日時：2016年8月1日 22時
