あったかいお紅茶を【オリジナル】

半分 ページ39

「せやね〜例えば怪我の治りが遅いとかやない？」

「十分早いじゃないですか…」
私の部屋より少し広く感じる部屋の椅子に座る
朱陽さんはベッドに座る

「鬼の中では遅い方や」
少しぶすっとした朱陽さんが自分の手を見た


「かすり傷とか火傷とかはすぐ治るんよ？やけど大きい怪我は治るのに時間がかかるんや。創志郎兄さんなんかす〜ぐ治ってまうし、あの人が怪我で休んどるとことか見たことあらへん」
面倒な体やわほんま、と言いつつどこか一点を見つめている。

こわ。大丈夫か朱陽さん

「まず怪我がすぅ〜って治ること自体おかしいんですけどね。」
全く、羨ましいったらありゃしないよ
私もささ〜って怪我くらい治ってくれるような体だったらなあー…

「指を切ればしばらく血は止まらないし、傷が完全に消えるのはかなり先だし…！」
人間使えねぇ〜何これ、そりゃ鬼に財宝持ってかれちゃうわね！！桃太郎！！！


「…こない綺麗な手怪我させたら打ち首とちゃう？」
と朱陽さんが手を取ってまじまじ見る
な、何言ってるんだ…

「打ち首って、いつの時代のはなしを…」
「ああっ！！！ほお！見てや！痕が…！！！」
話聞けよっ！

しかもそれこの前入院した時の残りだし…
「これやったん誰…？」
「へ？」
「ちょっこししばいて来るわ。で、誰なん？やったんは。」
え、笑顔が怖い…ここはなんとか収めなくちゃ

このまま飛び出されても困る！

「自分でやっちゃっただけですって、料理してるときにサクッと」
「……そうなん？痛かったやろ…？平気？」
「平気ですよ。人間、治りが遅い上にこうやって痕残っちゃうから…」

また少し暗くなる部屋


「せや！面白いもん見したる！俺の眼見ててや」


でた、記憶の共有だ…！！これすごいんだよ！思い出を一緒に見られるんだ！


朱陽さんの眼を見れば若い頃の創志郎さんと紕閠さんの変顔が頭に流れ込んで来た

何この二人めっちゃかわいいっ！
朱陽さんも笑ってる


すると

「朱陽様、A様、ご夕食の準備ができました」
とノックの後に紕閠さんの声がした



「はーい！」
「今行くー」

と一階へ降りた

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