織田作の命日。 (ページ2)

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坂口安吾先輩。ページ2

────そして、現在にいたる。今頃、私は

久々の休日を満喫していたのになあ、と車内で

一人ぼやく。さらに5分ほど車を走らせると、政

府機関の集まるビルが見えてきた。私は駐車場

に車を止め、坂口安吾の名前を伝える。

坂口安吾先輩。私を異能特務科に引き入れて下

さった師であり、私の尊敬する上司である。す

ると、ちょうど奥から先輩が歩いてきた。

「先輩！」

私は慌てて先輩を呼び止める。

「ああ、辻村君。報告書ですね？」

「はい、やっと綾辻先生が書いてくれました。」

私は苦い顔をして報告書の束を先輩に差し出

す。

「お疲れ様です。」

そう言って報告書を受け取り、微笑んでくれる

先輩。ありがたい…。

「………そうだ、辻村君。」

先輩が唐突に名前を呼んだ。

「はい？」

「今日の夜、一緒に飲みませんか？」

坂口先輩がこういった誘いをかけてくるのはと

ても珍しいことだった。

「ええ、いいですね！」

私は即座に了解の返事。

「では、９時にこのビルの前で。」

それだけを言うと先輩は2人の護衛と共に歩き去

っていく。先輩が誘ってくれるのはとても嬉し

い、嬉しいことなのだが……

「どうして私…？」

私は小さく疑問を口にした。